My Fairy Kingdom

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zoom RSS Keep Yourself Alive (炎のロックンロール)

<<   作成日時 : 2008/02/03 00:54   >>

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デビューアルバム「Queen」の発売に先立つ1973年7月6日。
デビューシングルとしして"Keep Yourself Alive"がリリースされた。
原題を直訳すれば「お前、がんばれよ!」。
邦題の"炎のロックンロール"は気合十分ではあるが、残念ながら"炎"でも"ロックンロール"でもない。
ブライアン作。
フレディのたたみかけるようなボーカル、ギターオーケストレーション、ハーモニー、その上ドラムソロ。
Queenという魅力をぎゅうぎゅうに詰め込んだ1曲。

デビューシングルをアルバムの冒頭に配するのは非常に危険なことである。
あまりにも1曲目の印象が強烈に残り過ぎて、それ以外の曲の印象が希薄になってしまうことがあるからだ。
しかし、この「戦慄の王女」においてはそれはあてはまらない。
そう、それだけ全体の楽曲のクオリティが高いということだ。
(あくまでも筆者の主観である)
ただ、残念なのは、この後確立されてゆく"Queenサウンド"がまだ開発途上にあるため、フレディのリバーブ処理を含めた各楽器の音色に物足りなさや違和感が残ること。
ブライアンのギターの音はまだSMILE時代の名残であるし、ジョンのベースはフェンダー系というよりもサスティンがなくミドルレンジに癖のあるリッケン的な音色である。

ライブでの演奏頻度も初期を中心にかなり高い人気の1曲。
ソリッドさでこの曲の魅力倍増なのだ。

フランジャーをかけたギターの単音リフ(レフトチャンネル)からスタート。
しかし、最初の音がたわんでいる。
そう、昭和生まれにはお馴染み、カセットテープのポーズボタンを解除した時のたわみ方だ。
しかも、メインのギターリフが登場するまでの拍数が中途半端。
なんと23拍(5小節と3拍)。
その2点から次のように推測することができる。
(下図参照↓)
画像
つまり、レコーディング時点ではメインリフまで8小節あったのだ。
それを2小節と1拍終了時点(赤枠部)でポーズで止め、それを解除するところからトラックダウンしていったのだ。
(ちなみに「Live Killers」では、"F"4小節、"A"4小節と、いたってノーマルな8小節でプレイされている)
その上、2本目のギター(ライトチャンネル)もメインリフの6拍前という中途半端なところでにカットイン。
また、ビートを刻むハイハットとカウベルは"HH"マークの位置の直前からフェードイン。
これも非常に中途半端なタイミングであるが、仮にポーズ解除時点を"0拍目"(ひっかけ)で計算してゆくと、どちらも4小節を1サイクルとする、いわゆるノーマルな小節割となる。
おそらく、全てリスナーを煙に巻くために意図的に仕組まれたトリックであろう。
初めて聴くと、威勢のいいギターに翻弄されているうちに登場するかなりクリーントーンに近い音色のフニャフニャしたメインリフに拍子抜けしてしまうのだ。

メインリフに入り、リズム隊が合流してからはさらにタンバリンも登場するが、このタンバリンがほとんど聴こえないハイハットの代わりにビートを導くことになる。
ただ、そのタンバリンも消え際が非常に微妙であるのだが・・・。
そしてイントロの最後には2/4を1小節挟むという念の入れようである。
しかもキーは、イントロで"F"→"A"と転調し、再び"F"に戻ってボーカルの登場となる。
    F
I was told a million times
(耳にタコができるくらい聞かされた)
      Bb        F
Of all the troubles in my way
(僕を待ちうけているありとあらゆる厄介事について)
      F       F/A
Tried to grow a little wiser
(少しは賢くなろうってがんばった)
    Bb       F
Little better every day
(毎日少しでも向上してゆこうって)
     C
But if I crossed a million rivers
(でも、たとえどんなにたくさん川を渡っても)
    C#
And I rode a million miles
(どんなに遠くまでやってきても)
      G#
Then I'd still be where I started
(やっぱりまた振り出しだ)
       C
Bread and butter for a smile
(へらへら笑ってパンとバターを手に入れるんだ)




   F
Well I sold a million mirrors
(数え切れないくらい鏡を売ったよ)
   Bb       F
In a shop in Alley Way
(アリーウエイにある店だった)
    F        F/A
But I never saw my face
(でも、一度だって見たことないよ)
    Bb    F
In any window any day
(窓に映る自分の顔なんて)
          C
[A]Well they say your folks are telling you
  (君の仲間達は君に)
  C#
To be a superstar
(スーパースターになれって言ってるらしいね)
    G#
But I tell you just be satisfied
(でも、僕は君に言いたいんだ)
A
Stay right where you are
(今いる場所で満足すべきだって)
これだけの歌詞が30秒弱に詰め込まれる。
2トラックに分けて交互にレコーディングされたボーカルが怒涛のようにメッセージをぶつけてくるのだ。
メタファーが多用されており、まるで一編の青春小説のようである。
イントロから続く注目のタンバリンは0'58''のあたり([A]地点)でなぜか投げやりにリズムを刻むことをやめ、そのまま2コーラス目まで姿を隠すことになる。
また、サビへのブリッジとなる赤マーカー部のコード展開がポイント。
上に乗っかっているボーカルラインが上手く作られているため違和感はないが、実はキー"F"で考えるとかなり強引にツイスト。
ラストを"A"に持ってゆくことでサビで自然に"D"への転調を可能にしているのだ。

そしてシンプルなコーラスでキャッチーなサビへ。
Keep yourself alive keep yourself alive
(がんばるんだ、あきらめちゃダメ)
It'll take you all your time and money
(時間とお金を全部つぎ込んむんだ)
Honey you'll survive
(そうすれば、君は生き残れるよ)
マシンガンのように言葉が繰り出されるバース部、ブリッジ部から辿り着いた末の開放感。
これぞサビの醍醐味、カタルシス。
しかし、ここでのアンサンブルは非常に緻密に計算されている。
(下図参照↓ 2'07''〜[ドラムソロ前のサビより採譜])
画像
サビ前半部ではパワーコードでバッキングしているギターが、赤枠部では単音となる。
そこでは、ベースの四分音符に合わせて、ボーカル&ギターが加わった3音で和音を構成している。
1拍目は"D"、2拍めは"F#7/C#"、3拍目は"Bm"、4拍目は"G7"。
敢えてギターや鍵盤でのコードプレイを排することで、この3つの和音が生きてくるのだ。

ブレイクとともに再びメインリフへ。
そして怒涛のように2コーラス目へ。
Well I've loved a million women
(愛した女性の数は星の数ほど)
In a belladonic haze
(ベラドンナに目を潤ませていた)
And I ate a million dinners
(銀のトレーのディナーだって)
Brought to me on silver trays
(数え切れないほどいただいたよ)
Give me everything I need
(まだ全然足りないんだ)
To feed my body and my soul
(僕の体と魂を満たしておくれ)
And I'll grow a little bigger
(そうすれば少しは大人になれるさ)
Maybe that can be my goal
(ひょっとしたらそれがゴールかも)


I was told a million times
(本当にうんざりするほど聞かされたよ)
Of all the people in my way
(僕がこれから出会う人たちのこと)
How I had to keep on trying
(どんなふうに努力を続け)
And get better every day
(日々成長してゆかねばならないかって)
But if I crossed a million rivers
(でも、たとえどんなにたくさん川を渡っても)
And I rode a million miles
(どんなに遠くまでやってきても)
Then I'd still be where I started
(やっぱりまた振り出しだ)
Same as when I started
(スタートした時と全く同じだ)
Keep yourself alive keep yourself alive
(がんばるんだ、あきらめちゃダメだ!)
It'll take you all your time and money
(時間もお金も全部つぎ込め)
Honey you'll survive
(そうすりゃ上手くゆく)

2コーラス目が駆け抜けるとなんとドラムソロ。
シングル、しかもデビュー曲にドラムソロがあるというのを筆者は他に知らない。
「(デビュー)シングル最長のドラムソロ」とかいうのは、ギネスブックに載せてはもらえないのだろうか?
(下図参照↓ 2'15''〜)
画像
PVやブート映像から推測すると、この頃のロジャーのセットは1タム(小:バスドラにセットされたもの)&中・大2つのフロアタム。
(PVではロータムの位置にカウベル、その手前にはウッドブロックまで見える)
このソロで聴こえるタムは3つ。
高音がライト、中音がセンター、低音がライトにパンニングされている。
ということは、タム(小)がライト、中フロアがセンター、大フロアがレフトという定位。
少々疑問(中フロアをセンターに定位させるか?)は残るが、この配置で考えてみよう。
ヘッドのチューニングが緩いのか、音色にかなりたわみがあるためそれぞれの違いは非常に聴き分けにくくなっている。
また、PVでも分かる通り、タム(小)もかなり口径の大きいものであり、それも音色の違いを分かりにくくしている原因となっている。

冒頭から中フロア→タムへの移動。
(PVでは大フロア→中フロアでスタート)
ドラマーの視点から見れば「右から左」へ。
つまり右手からスタートしてきっちり16分音符4つ分叩くとタム移動の際に腕がクロスする非合理的な動きとなる。
それを解消するために、「右から左」(フロア→タム)へ移動の際は左手が先に移動している。
(青枠部)
ロジャーの癖なのか、それとも奇をてらったのか。
他のフィルインが「左から右」への移動が中心であることを考えるとここには何らかの意図があるはずだ。
そして、最初の4小節はひたすら16分音符の連打。
5小節目に入り、スネアやカウベル(緑枠部)を交えたフレーズ。
そのあたり(赤枠部)では、リズムは少しよれ気味、アクセントも不明瞭である。
その後、後半に入ると大フロア→中フロア、中フロア→タム(小)と再び「右から左」への動き。
ラストは普通の感覚とは全く逆の、最高音であるタム(小)で締めくくりとなる。
("You're My Best Friend"でもポイントでこの逆方向フィルが使われている)
その上、しめて9小節??
最初からその小節数なのか、はたまたチョッキンが入ったか。
(チョッキンが入ったとすれば赤枠部??)
真実は全て闇の中である。

そして待望のギターソロ。
ブライアン全開である。(下図参照↓ 2'31''〜)
画像
単なるギターハーモニーではない。
そう、まさにギターオーケストレーション。
デビューシングルで既に基本は確立されている。
ライトチャンネルの最高音パートは、アイルランド音楽のフィドル(バイオリン)を思わせるライン。(スコア上段)
センターの中音パートはサックスやクラリネットの木管風。(スコア中段)
そして、レフトの低音パートはトロンボーン風。(スコア下段)
(それに加えてストリングス風のカウンターラインをプレイするスペイシーなエコーギター)
いわゆる3重奏である。
上記の3パートが近付いたり離れたりしながらアンサンブルを構成している。
このスタイルがやがて"Good Company"でのデキシーランドへと発展してゆくことになる。

ソロ後のサビの後にはロジャーとブライアンの掛け合いへ。
デビューシングルからいきなりリードボーカル以外のメンバーがソロで声を発するパート。
これもまさに規格外!
この後の彼らの楽曲の中でもそのようなパートはごくわずか。
やはりデビューシングルと言うことで思いつくものは全て詰め込んだということだろうか。
Do you think you're better every day?
(日ごとに良くなっていってるかい?)
No I think I'm two steps nearer to my grave
(いいや、少しずつ墓場に近付いているだけだよ)
"E"から再び"D"のサビへ戻すための上昇フレーズ。(下図参照↓ 2'52''〜)
画像
ギター3本+ベース(ギターとユニゾン)のハーモニー。
赤枠の部分の半音進行で最後の和音を"A"へ。
そしてすっきりと"D"のサビへとつながって行くのだ。

エンディングはサビを繰り返しフェイドアウト。
しかしそこも単純には終わらない。
この後に及んでまだ転調が繰り返されるのだ。
D          G
Keep yourself alive
D        A
Keep yourself alive
   D     C#m   Bm     G
You take your time and take more money
A         D
Keep yourself alive
短3度上の"F"へ。
F           A#
Keep yourself alive
F         C
Keep yourself alive
F Em Dm A#
All you people
C        F
keep yourself alive
短3度下がってオリジナルの"D"へ。
D          G
Keep yourself alive
D        A
Keep yourself alive
   D     C#m   Bm     G
It'll take you all your time and money
A         D
To keep me satisfied
短3度下がって"B"へ。
B          E
Keep yourself alive
B        F#
Keep yourself alive
B A#m G#m E
All you people
F#        B
keep yourself alive
B
Take you all your time and money
Honey you'll survive
Keep you satisfied
Keep you satisfied

そしてそのまま"B"でフェイドアウト。

たった3分47秒。
しかしそこには彼らの持てるもの全てが詰め込まれている。
成功への貪欲さと執着の詰まった勝負の1曲なのだ。

彼らは、1971年にレコード会社への売り込み用にデモテープを製作した。
もちろん、この曲も含まれてた。
いわゆる"De Lane Lea"スタジオバージョンと呼ばれるテイクだ。
これを聴くと、この時点でこの曲がほぼ完成していたことがわかる。
決定的に違うのは最初に登場する16分音符を刻むギター。
なんとアコースティックである。
そのため、なんだかインド的なエスニックなムードを醸し出している。
また、ベースは全体的に音数が多く、ドラムのビートとジャストに合わせることを意識してプレイしている。
そして問題のドラムソロであるが、なんと13小節。
やはり何とも微妙な長さなのである。

さらにもう1テイク。
1991年からアメリカでのQueen作品のディールを開始したハリウッド・レコーズ。
このハリウッド盤の特徴はボーナストラック。
「戦慄の王女」のボーナストラックにはなんと"Keep Yourself Alive"の別バージョン。
Long Lost Retakeと銘打たれた謎のバージョンである。
ファーストアルバムレコーディング時のマテリアルを元に、かなり後で手が加えられているのではないだろうか。
全体的なアレンジは「Live Killers」などでも聴くことのできるライブバージョン。
イントロなどのドラムの入り方やロジャーとブライアンの掛け合いに入るところのギターなどがポイント。
ただ、ギターの歪み方は「Innuendo」で聴くことのできる晩年の音に非常に近いような気もする。
しかし、フレディの"All you pretty people"という歌詞は、デモバージョンにはあって、ファーストアルバムバージョンからはオミットされた表現。
ということはボーカルはかなり初期のもの?
いずれにせよ、謎は謎を呼ぶのだ。
あ・・・ちなみにドラムソロは4小節と2拍という杜撰な編集が施されている。

次回はA面2曲目"Doing Ali Right"

[2010年5月18日大幅に加筆訂正:らりさん、ご協力感謝です]

Keep Yourself Alive 1973年 (PV) / Queen
ロジャーのセットとドラムソロに注目。ドラムソロ後にタンバリンを投げるフレディが素敵。


Keep Yourself Alive / De Lane Lea Demo バージョン (1971年)
謎のアコギ。リズム隊はスタジオ版よりもかなりワイルド。


Keep Yourself Alive (Long Lost Retake)
このバージョンに秘められた真実は?


Keep Yourself Alive / Tea (ひとりQueen)
アコギ1本でここまでこの曲の持つオーラを再現。お見事。


Keep Yourself Alive / Gary Mullen
驚異の喉を持つフレディフリーク。ぜひともQueen + Garyを見てみたい。

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Queen (戦慄の王女)
1973年7月13日(金)。 そう"Friday the 13th"。 UKで一枚のアルバムがリリースされ物議を醸すことになる。 (日本での発売は遅れること8カ月、1974年3月25日) 赤紫っぽいジャケットに、マイクスタンドを掲げたボーカリストらしき姿とバンドロゴ。 ...続きを見る
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Liar
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My Fairy Kingdom
2011/10/21 22:32

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