My Fairy Kingdom

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<<   作成日時 : 2008/02/03 20:19   >>

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タイトルを直訳すれば「うまくゆくはず」。
フルの密度でストレートにグイグイ押しまくる前曲に対し、各パーツはシンプルで繊細ではあるが複雑でドラマチックさに重点を置く曲構成。
特に、フレディ。
力技でねじ伏せようとする前曲に対し、ファルセットを多用し、まるで水彩で描かれた童話の挿絵のようなイメージ。
この2曲で、このボーカリストの恐ろしいまでのポテンシャルをまざまざと見せつけるのだ。

元々はQueen以前にブライアンとロジャーが参加していたSMILE時代のレパートリー。
コンポーザーはティム・スタッフェル(SMILEのVo兼Ba)&ブライアン。
SMILEバージョンと比べると、やはりフレディのボーカルの凄さに圧倒されるのだ。
ちなみにSMILEバージョンは、いかにも60年代末のアートロックテイスト。
「In Rock」以前のDeep PurpleやVanilla Fudgeのようなムードを醸し出している。
3コーラス目はロジャーがリードボーカルである。
同じSMILEのナンバーである"Polar Bear"も戦慄の王女セッションでレコーディングは行われたが、収録は見送られた。

イントロのピアノはブライアンがプレイ。
レフトチャンネルに押し込められ、強めのリバーブで遠く響く。
SMILEバージョンではギターがイントロをプレイしている。
(下図参照↓)
画像

ドラムはなぜか、モノラルミックスされたものがレフトとライトにダブルトラックで配置されているようである。
しかも微妙にレフトトラックの方が音が大きい?
しかし、ごく部分的にはタムがレフトからライトに流れるように聴こえる部分もある。
全く謎である。
何かの手違いでこのようなミックスになってしまったのか?
また、ピック弾きと思われる硬質なベースのアタックは"Penny Lane"のポールのプレイを思わせる。
(77年のアールズコートの映像では指弾き)
そのベースに導かれてボーカルが登場する。
Yesterday my life was in ruin
(昨日、僕の人生は目茶苦茶だった)
Now today I know what I'm doing
(でも、今、今日になって自分のやるべきことが分かった)
Got a feeling I should be doing all right
(きっとうまくゆくはずだって気持ちになったんだ)
Doing all right
(きっとうまく・・・)

最初のバースは過去から現在へ。
フレディは全てファルセット。
透明感のあるはかなげなボーカルで、現在との距離感を演出している。
静かな曲調にもかかわらず延々"E"(4弦開放、3弦7フレット)を連打する面白みのないベース。
ジョンらしくないフレーズではあるが、それもそのはず、オリジナルバージョンのティムのラインを尊重したもの。
ティムはボーカリストでもあったため、歌バックのベースは負担にならないシンプルなものにということだったのかも知れない。
ボーカルラインに絡むようにギターのオブリガードが入るが、少々出過ぎな感も。
そのブライアンのミニソロで最初のバースが締めくくられる。
(下図参照↓ 0'39''〜)
画像

Queenというフォーマットでは珍しいクリーンのオブリガード。
赤枠部ではスライドミスのノイズも聴きとることができる。

2番目のバース。
フレディは全編地声で力強く未来に思いを馳せる。
Where will I be this time tomorrow?
(明日の今頃はどこにいるだろう)
Jumped in joy or sinking in sorrow
(喜びに飛び跳ねているか、それとも哀しみに沈んでいるか)
Anyway I should be doing all right
(いずれにせよ、うまくやっているはず)
Doing all right
(きっとうまく・・・)
1曲目の"Keep Yourself Alive"で炸裂するナマナマしいリアリズムの対極と言える、抽象的で哲学的かつ内省的に展開される歌詞世界。
穏やかで牧歌的。
しかし、一転、アコースティックギター主体のジャジーなカンタベリー系プログレ的に展開してゆくのだ。
(下図参照↓ 1'18''〜)
画像
転調し、スピードも少々アップ。
しかし、フィンガーピッキングにかなりムラがあるためかなり聞き取りにくい録音状況。
その上、フレーズのばらつきもかなり目立つのだ。
Should be waiting for the sun
(太陽を待とう)
Looking round to find the words to say
(あたりを見渡し、言うべき言葉を探すんだ)
Should be waiting for the skies to clear
(空がすっきり晴れあがるまで待とう)
There ain't time in all the world
(でもこの世界には十分時間があるわけじゃない)
Should be waiting for the sun
(太陽を待ってみよう)
And anyway I've got to hide away
(でも、とにかく身を隠さなければ)
スキャットを思わせるフレディのリリカルなメロディ。
ファルセットであるため、ライブで再現できないことが残念である。
後半からはリズム隊も合流。
このリズム隊のおかげで、SMILEバージョンに比べ洗練されたプログレ/ジャズロックな空気を醸し出している。
ドラムはリムショット中心で涼しげに。
一方、ベースはなんとダブルトラック。
ジャジーな上昇ラインとギターとユニゾンの下降ライン。
恐るべし。
しかもこのパターンを締めくくり、次のハードパートへとつなぐフレーズはいかにもジョン。
(下図参照↓ 2'01''〜)
画像
また、このパートに関してはSMILEバージョンとQueenバージョンで歌詞が大きく異なる。
(以下の緑マーカー部)
[SMILEバージョン]
Should be waiting for the sun
(太陽を待とう)
Anyway I've got to hide
(でもとにかく身を隠さなければ)

Going back to where the skies are blue
(青空が広がる所へ戻ろう)

Going home to find the world
(故郷へ戻って世界を見つけよう)

Should be waiting for the sun
(太陽を待ってみよう)
Anyway I've got to hide
(でもとにかく身を隠さなければ)
ブライアンの手によるものか、それともフレディの意図か。
詳細は不明であるが、"Go back"や"Go home"といった共通のニュアンスを持つ表現がカットされていることから、フレディの意図と考えるのは勘ぐりすぎであろうか。

さあ、いよいよお待ちかね、ディストーションオン!
再び"E"に転調してハードパートへ突入。
バリバリモゴモゴと複数のギターがうごめくが、分離状態が悪く聴きとることができない。
(下図参照↓ 2'06''〜)
画像

手癖全開!
締めくくりはロックギターの王道、ラン奏法へとなだれ込むが、後半部分(赤枠部)では失速気味。
最後まで弾き切るガッツが足らないところがいかにも草食系のブライアン。
しかし、それゆえにブライアンの構築を重視したギタースタイルが発展したのかもしれない。
ソロの締めくくりは、いかにもアートロックなハーモニー。
クリーントーンのミニギターソロに導かれて3rdバースへ。
(下図参照↓ 2'31''〜)
画像
Yesterday my life was in ruin
(昨日、僕の人生は目茶苦茶だった)
Now today God knows what I'm doing
(でも、今、神は僕が何をしようとしているのかご存知なんだ)
Anyway I should be doing all right
(いずれにせよ、きっとうまくゆくはず)
Doing all right
(きっとうまく・・・)
フレディは再びファルセットへ。
一聴すると、最初のバースと同じように聴こえるが、よく見ると赤マーカー部が異なる。
そしてその部分は、SMILEバージョンとも異なる点でもあるのだ。
最後のバースに"God"や"anyway"という言葉を織り込むことで、人間の無力感(いい意味でも悪い意味でも)が強調される。
そう、人間は神に生かされているのだ。
サウンド面だけでなく歌詞も手直しすることで、当時の等身大のQueenを表現しようとしているのだ。

そして静けさは、再びエッジの効いたディストーションサウンドで切り裂かれる。
(下図参照↓ 3'22''〜)
画像
中間部のソロよりも随分計算された感のフレージング。
少しずつ高音部へとシフトしながら未来へと想いを馳せてゆく様を演出してゆく。
ディストーションギターからクリーントーンギター、次にコーラス、そしてピアノとバトンを渡しながら曲はエンディングを迎える。
ラストのピアノのぶっきらぼうな途切れ方(フレディからインスパイアされた?)は、次の曲の唐突なフィードバックと絶妙なマッチング。

本来は、Queenとしてレパートリーの少なさを補うために入れられたと思しき1曲ではあるが、SMILEとは完全に違ったテイストを醸し、なおかつフレディの存在を際立たせる結果となったのだ。

さて、次回はいよいよフレディの作品が登場。
A面3曲目"Great King Rat"

[2008年2月一部改訂]
[2010年8月大幅改訂]


Doing All Right / SMILE
Queenバージョンの水彩画に対し、こちらは宗教画のおもむき。3コーラス目はロジャー。


Doing All Right ('77 Earls Court) / Queen
ジャジーなパートでのフレディのアドリブに注目。
エンディングソロでは、ブライアンのディレイトリック炸裂。よっ、ドラマー泣かせ!



Doing All Right (Langham Studio Version) / Queen
SMILEバージョン同様、3コーラス目はロジャーがVo。


HELP! / Deep Purple
まだアートな頃。Voはロッド・エバンス。
リッチーも若い!まるでアニマルズのよう。



You Keep Me Hanging On / Vanilla Fudge
これぞアートロック。
ゴーゴーダンサーズとマント姿のティム・ボガートが新鮮。



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All Dead, All Dead
そのまま訳すとあまりにもナマナマしいので、「もうどこにもいない」くらいにしておこう。 ブライアン作。 残念なことにライブで演奏されたという記録はない。 個人的には、ブライアン作品ポップ・バラード部門のベスト3に入る曲。 フレディのようにダイナミックでスポンテイニアスではないが、はるかに繊細でリリカル、まるで水彩画のようなピアノ。 いかにも伝統的ブリットポップなシャッフルのリズム。 まるでオーロラのように儚げに色が移ろいでゆくギターオーケストレーション。 そして、明らかに"意識... ...続きを見る
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2009/06/21 23:35

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