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zoom RSS The Night Comes Down

<<   作成日時 : 2008/02/10 21:35   >>

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タイトルを日本語にするなら、「夜の帳が降りる」。
ブライアン作。

デビュー前のデモテイク"De Lane Lea"Studioバージョン(1971年録音)の中の1曲としてもおなじみ。
唯一その音源が「戦慄の王女」に採用された(「戦慄〜」時にリマスター)わけだが、もちろん「戦慄〜」のレコーディングセッションの際にも再録された。
が、残念ながらボツ。
そんなわけで、「戦慄〜」に収録された他の曲とは音色面で大きな違いがあるのだが、特にドラムに関しては音色だけではなくプレイスタイルも大きく異なる。
実質たった半年ほどの短いインターバルであるが、ドラムは驚くほど大きな変化を遂げている。
「戦慄〜」のドラムサウンドにメンバーは非常に不満であったようだが、それと比べるとこのデモテイクのドラムサウンドは、クオリティは低いもののクリアでナチュラル。
これがよりビビッドでリアルなロジャーの音色なのだろう。

この曲自体は非常に地味な存在であるし、ライブ演奏された音源も映像も残っていないが、売り込むためのデモテープとしてレコーディングされたということは、、間違いなくライブでの自信の1曲であったということ。
つまり、Queen黎明期を飾る重要なレパートリーだったのだ。

かなり素っぴんのスネアとバスドラからイントロがスタート。
(下図参照↓)
画像
1stアルバムゆえにどの楽器の音色も発展途上であるが、やはりこのドラムの音色は異色。
まるでキックペダルのバネの音まで聞こえてきそうなくらいナマナマしい空気感である。

ブレイクのあと、ブライアンのアコースティックギターでイントロAがスタート。
(下図参照↓ 0'06''〜)
画像
裏から入ることで、リスナーを翻弄するブライアンのフレージング。
このイントロギターパターンは、モチーフによって3パターンに分けることができる。
まずは赤枠部のパターン1。
モチーフはバッハの"トッカータとフーガ"
ハードロックで比較的よく引用されるフレーズである。
続いては緑枠部のパターン2。
モチーフは"津軽じょんがら節"
クォーターショーキングのシャープなテンション感がいかにも三味線。
"Brighton Rock"において"津軽三味線"風についてたびたび言及されるが、あのパターンはSMILE時代からすでに確立されてるワザ。
そして最後のパターン3は"スパニッシュ"をモチーフ。
"A"以降はもう1本のアコギが登場しスピード感を煽るのだ。(5弦解放&4弦7F)

一方、オンタイム&休符を入れることでブライアンに翻弄されつつあるリスナーに助けの手を差し伸べてくれるのはジョン。
(下図参照↓ 0'09〜)
画像
少し音の並びが変わる部分もあるが基本はこのパターン。
小節の最後にきっちり休符を挟むことで、小節の頭が非常に分かりやすくなるのだ。

そしてドラムのフィルインが次のパートへと導くのだが、これがまたロジャーらしくないプレイ。
(下図参照↓ 0'52''〜)
画像
赤丸部はクラッシュのミュート。
つづく緑丸部は左足で踏んだハットのカウント。
このようにカウントが残っているのも、デモバージョンならでは。
ちなみに、本当のデモトラック"De Lane Lea"Studioバージョンでは、さらにもうひとつカウントを聴くことができる。
フレーズの後半へかけてややリタルダンドしながらバスドラで締めくくり。(青丸部
そう、まるで"Stargazer"のコージー・パウエルや"Fox on the Run"のミック・タッカーのよう。
バスドラで締めくくられるフィルが執拗に繰り返される。
Queenとしてデビューしてからはあまり聞くことのできなくなった若かりし日のロジャーのプレイスタイルと言えるだろう。
そんなフィルに締めくくられてイントロBへ。
(下図参照↓ 0'55''〜)
画像
スピード感満点のイントロAから減速し、ゆったりとした3声のハーモニー。
上段はレフトチャンネル、中段はライトチャンネル、下段はセンターに定位されている。
かちっと構築されたギターオーケストレーションではなく、あくまでもハーモニー。
緩めの絡み具合が、このゆったりとした流れにマッチするのだ。
しかしそれよりも、このパートのポイントはコード進行。
"Am"からスタートするが、"D"→"C#"と強烈にツイストすることで、なんと"A"へ。
"ひねくれポップ"の代名詞、10CCを彷彿とさせるアーティスティックなコード進行。
やはりロジャーのフィル(バスドラ)によって締めくくられ、最終的には"Dmaj7"へ着地。
(下図参照↓ 1'02''〜)
画像
ダークでアグレッシブなムードのイントロ@〜A[夜]、中世的で荘厳なハーモニーのイントロB[夜明け]から大きく変化し、浮遊感あふれる洗練されたムードに包まれ最初のバース[日中]へ。
なぜ赤丸部のタム音はミュートされているのだろう?
謎である。
Dmaj7    D7    G       D
When I was young it came to me
(まだ若かった頃にそれはやって来た)
        G    C       D
And I could see the sun break in
(一瞬差し込む日差しだって見ることができたんだ)
Dmaj7   D7    G     Bm
Lucy was high and so was I
(ルーシーはハイになり、僕もそう)
Am    D      C#    A
Dazzling, holding the world inside
(眩暈を感じながら世界を抱え込む)
Dmaj7   D7   Bm
Once I believed in everyone
(かつて誰のことでも信じていた)
Bb             D Dmaj7  D7
Everyone and anyone can see
(目に映る誰であろうと)
抽象的で難解な歌詞。
この時代を象徴するアートロック的世界観。
冒頭の赤文字部"it"とは一体何なのか?
ひょっとして(象徴的な意味での)"夜"or"闇"なのか?
また、緑文字部"Lucy"はやはりLSDの象徴?
それともThe Beatlesの"Lucy in the Sky with Diamonds"に登場する"Lucy"?
いずれにせよ、ドラッグとの関連を思わせるのだ。

このバース@バッキングの中心はブライアンのプレイするアコギ。
ベース音をボトムに配しないことで浮遊感を醸しだす。
(下図参照↓ 1'12''〜)
画像
3弦上(〜4弦にかけて)の下降クリシェがポイント。(赤枠部
特に上図11〜12小節にかけては"C#→C→B→A#"と4音に渡る半音クリシェを完成させるためにかなり強引なコード進行となっているが、それがまたアクセントとなって緊張感を高めこのバースを締めくくっている。
また、フレーズの中にはさりげなくハーモニクスも織り込まれている。(青枠部
メインでプレイされているギターはナイロン弦であるが、部分的(ストローク部)にスチール弦(12弦?)もオーバーダブされている。
そして、このバース@を締めくくるロジャーのフィルインも印象的。
(下図参照↓ 1'46''〜 )
画像
デビュー後のロジャーからは想像もつかない、黒っぽいフィーリングのフィル。
締めくくりはやっぱりバスドラなのだ。
それにしても、気になるのはドラムがプレイされていない部分での鳴り物(カウベル)。
まるでクリックのように鳴り続けるカウベル。
このカウベルに込められた意図は?
謎である。

さて、そのロジャーらしからぬフィルに導かれてサビ@へ。
G A    D  G    D  Bm
Oh oh the night comes down
(ああ、夜の帳が降りてくる)
   F#m  G   D Dmaj7 D7
And I get afraid of losing my way
(そして行き先が分からなくなるのじゃないかと不安になる)
G A    D  G    D  Bm
Oh oh the night comes down
(ああ、夜の帳が下りてくる)
F#m G F#m Em    A
Oooh      and it's dark again
(そしてまた闇)
まだコーラスにもムラがあるところがいたって初々しい。
それをバックで支えるブライアンのオーケストレーションは宗教色の強い荘厳さを演出している。
(下図参照↓ 1'52''〜)
画像
最上段がレフト寄り、中段・下段がライト寄りに定位されている。
どのギターもミキシングでの出し入れが微妙にずれて、うまくかみ合っていない部分があるのが残念である。

そして、サビを締めくくるのはジョンがプレイする"夜"のフレーズ。
(下図参照↓2'16''〜)
画像
ギターと違うポジション取りをしているのは4弦7F→5Fの動きのストレスをなくすため。
そしてバースAへ。
Once I could laugh with everyone
(かつて、誰とでも笑いあえた)
Once I could see the good in me
(かつて、自分の善を見出すことができた)
The black and the white distinctively
(はっきりとした白と黒)
Colouring, holding the world inside
(2色に塗り分けて世界を包み込んでいた)
Now all the world is grey to me
(でも、今じゃ僕にとって世界はグレイ一色)
Nobody can see
(誰にも見えないだろうけど)
You gotta believe it
(そのうち分かるよ)
このバースAでも、リズム隊のきっかけとなるロジャーのフレーズが印象的。
(下図参照↓ 2'26''〜)
画像
これもデビュー後のロジャーのドラミングからはイメージしにくい幾何学的なドラミング。
なにしろ、このようなスローなフレーズがフロアタムからスタートするのだ。
赤丸部はすべて同じタムだと思われる。
が、最初だけがまるでミュートしたかのようにサスティンが死んでいる。
これも謎である。
Oh oh the night comes down
(ああ、夜の帳が降りてくる)
And I get afraid of losing my way
(そして行き先が分からなくなるのじゃないかと不安になる)
Oh oh the night comes down
(ああ、夜の帳が降りてくる)
Oooh and it's dark again
(そして、また闇)
And it's dark again
And it's dark again
再びジョンの"夜"のフレーズに導かれてコーダへ。
(下図参照↓ 3'27''〜)
画像
少しずつフレーズに変化を持たせながらジョンはこのままエンディングまで突っ走る。
そしてそこへ乗っかるのが、イントロ同様、3段階に変化するブライアンのアコギ。
(下図参照↓ 3'33''〜)
画像
アコギだけでもいくつかのトラックがクロスフェイドしているため、完全に拾うことは不可能である。
あくまでもこのような雰囲気で、ということで。
さらにその上で数本のエレクトリックギターが絡み合う。
どんどん音が重なりあいながら混沌は佳境を迎えるのだ。
(下図参照↓ 3'46''〜)
画像
上段がメインのフレーズを奏でるレフトチャンネル。
それに対して、下段はカウンターラインとなるライトチャンネル。
逆回転で録音されているため、かなりルーズなタイム感であるが、レフトのラインと絡むことでシタールのような効果を生み出している。

そして混沌が頂点を迎えると唐突にエンディング。
ブライアンテイストのプログレッシブな企みは強引に幕を下ろすのだ。

2011年の再発のボーナスディスクで、ついに公式音源として陽の目を見た"De Lane Lea"Studioバージョン。
「戦慄〜」収録の際にメンバーやロイがどのようなマジックを施したのかは一聴瞭然。
比較的クリアな音色で聴き比べができるのは本当に感謝である。


さあ、唐突なエンディングから間髪入れずに切れ込んでくるR&Rナンバー
ついにQueenきってのロケンロー野郎(ばか?)の登場!
B面3曲目、"Modern Times Rock'n'Roll"


[2012年6月24日 大幅に加筆訂正]

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タイトル (本文) ブログ名/日時
Queen (戦慄の王女)
1973年7月13日(金)。 そう"Friday the 13th"。 UKで一枚のアルバムがリリースされ物議を醸すことになる。 (日本での発売は遅れること8カ月、1974年3月25日) 赤紫っぽいジャケットに、マイクスタンドを掲げたボーカリストらしき姿とバンドロゴ。 ...続きを見る
My Fairy Kingdom
2010/03/18 00:28

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
lifeisrealさん、こんばんは!

今度は曲聴きながらlifeisrealさんの解説見てみました、けっこう言われている事解ります。

でも私だとあと2,3回聞き込まないとダメそう。

今度からは曲聴きながら何度かトライしてみますね。
楽しみが増えましたね。
流れ星
2008/02/11 21:14
流れ星さ〜ん、なんか無理やり引っ張りこんだみたいで申し訳ないです。
でも、そんな風に楽しんでもらえると本当にうれしく思います。
ありがとうございます。
lifeisreal
2008/02/11 21:46
ご無沙汰しています。
リライト、お疲れ様でした。

>0'52''〜カウント

これは、コピーしたときにも気づきませんでした。

また、バスドラで終わるフレーズが特徴的とは思いつきませんでした。
初期系で多いフレーズと言えば、右手・左手・足の3連や、
右手・左手・休符・左手のフレーズかなぁ、と思います。

さて、この曲で、よくわからないのが、イントロを含むテーマのアコギの音。
打楽器的な音が混ざっていますが、あれって、どうやっているのでしょう?
また、同じフレーズのベース部分が、意図的にビビらせているような音ですが、
あれも、どうやっているのでしょう?

>1'02''〜のタムのミュート

あれって、ミュートですか?
全体的にボンゾの真似のようなボコボコの音なので、たまたまヒットした感じでああいう音色になったんじゃないかと思いますが?

>1'46''〜

バスドラの32分音符部分は、もう1音あるように思いますがいかがでしょうか?
コピーしたときには、3連符にしようとしたが、均等でなくなったという感じに聞こえました(笑)
実はこのフレーズが最も難関でした。

それと、カウベルの件ですが、ファーストには多用されていますよね?
そういうことだけのような気がします。
読みが甘いかな?(笑)
まあ、アコギにわざわざ重ねる必要はないとも思いますが。。。
らり
2012/06/30 23:15
そう、あの「コーラスのムラ」、あれって、意図的だと思いこんでいたのですが、
どうなんでしょうねぇ?
他のロックを聴くと、意図的かどうかは不明ですが、きっちり合わせなくてもいいや、
といった感覚を感じることがありますよね?そのあたりの肌感覚を出したのだと思っていました。

>2'26''〜フィルのフレーズがフロアから始まる

これも初期の特徴のような気がします。
Keep Yourself Aliveのソロもフロアからですよね?
今思いついたのですが、初期ロジャーは左手をタムに残したままフレーズを構成することが多く、
そのため、1タムセット時代に右手から始まるフレーズはフロアから始まることが多かったのか、と。

この曲で一番の謎は、次のフレーズとの関連性の見えないイントロと、エンディングの混沌です。
このあたりは、プログレを意識したのでしょうかねぇ?
らり
2012/06/30 23:16
らりさん、こんばんは。

いつもありがとうございます。
書き直す前の記事には書いていたのですが、このテイクがデビュー前のデモテープからの流用であることを知るまでは、かなりの確率で別のドラマーだと思っていました。
それくらい、音色も、芸風もこれ以降のロジャーとは違うように感じているのですが。。。

イントロのアコギのパーカッシブなノイズは、ダウンストロークによるコインの擦れる音だと思います。
もちろん意図的にアタック音を強調するような弾き方をしているのでしょう。
ベースもアタックが強いために割れ気味の音になっているのではないでしょうか。

また、おっしゃる通り、1'47''のバスドラはあの32分の前に16分(上記譜面上では休符になっているところ)が鳴ってそうですね。
さすがです。

この曲に限らず、ファーストはいろいろなタイプのプログレ色が感じられますよね。
lifeisreal
2012/07/03 21:20
lifeisrealさま ♪  ご無沙汰致しております。。。
先日、Tシャツ付いたDVDが届きましたぁ〜!!!
お盆前後にZeppelinとQUEEN(角川書店のヤツです)が届いたんですが今回の方が数段良かったです。

"バルセロナ"は彼の最優秀楽曲ですね。1992のオリンピック大会で2人で唄いたかったでしょうね・・・。とゆーか、観たかったなぁ〜。
しかし、来年で40周年なるんですよね。。。あの頃は若かったのになぁーと・・・。
例のTシャツで中洲、天神界隈を歩く勇気がナイのが情けないんですが近くのファミマならOKかなって!
ほな、またお邪魔しますね。
では、またです。
おっと! My Friend もどっかにコメしてくれそーですので楽しみにしといてネ!
KENONE
2012/09/30 13:37
オッチャン、ご無沙汰しています。
お元気そうでなによりです。

このところフレディ関連のDVDが続いているのでどうしようかと悩んでいるところでした。
内容は「華麗なる〜」の方がよかったってことですか?
マイケル・ジャクソンとの音源が入るとかってやつですよね。
じゃあそっちの方をとりあえず買おうかなっと。

バルセロナオリンピックでであの曲が流れたときは、本当に涙なみだでした。
すっかり老けたブライアンとロジャー登場したロンドンオリンピックの閉会式も涙でしたが・・・。

フレディはいなくてもまた来日してくれることを祈りながら、Tシャツは次のQueenの来日までとっておきましょうね。

こちらも超スローペースながら死ぬまで続けるつもりなのでよろしくお願いします。
lifeisreal
2012/09/30 21:36

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