My Fairy Kingdom

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zoom RSS Lily of the Valley (谷間のゆり)

<<   作成日時 : 2008/04/02 00:22   >>

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直訳すると「鈴蘭」なれど、「谷間のゆり」というのもロマンティックな響きだ。
フランス人作家バルザックに"Le lys dans la valleé(The Lily of the Valley)"という小説があるが、フレディはもちろん多少なりとも意識していただろうと思われる。(内容的には関連なし)
「谷間のゆり」という邦題もそのバルザックの小説にならっている。

2分弱の曲ではあるが、作者フレディにとっては大きな意味をもつ曲である。
フレディらしく、リピートのない1回きりのパターンの積み重ねで構成された曲。

フレディの切ない声が、"Baby you've been had"(お前は囚われの身なんだよ)と前曲を締めくくると、そのままピアノでこの曲へと繋がってゆく。
なぜか虫の羽音のようなギターの逆回転の音。
時間の逆行をイメージした?
そう、唯一「II」と深いかかわりを持つ曲。

ここでも"sus4"がフレーズの決め手になる。
("Nevermore"、"The March of the Black Queen"参照)
Am  Dm Dsus4 / Am  Dm Dsus4 / Am ドシソミ / Am    G /

とにかく、フレディもブライアンも"sus4"を良く使うが、ピアニストとギタリストの発想の違いが面白い。(次曲"Now I'm Here"を参照)
アルペジオと組み合わせることの多いフレディの"sus4"は、リリカルな印象である。
そこにジョンの高音でのプレイが絡み、この曲のイメージを作り上げている。
(0'13''〜)
C       GonB        Am "onG C
I am forever searching high and low
(ずっとあちこち探し続けているのに)
Am                  Dm
But why does everybody tell me no
(なぜみんな"No"としか言ってくれないのだろう)
C    Dm   G          C    Dm  G   
Neptune of the seas have you an answer for me please
(海の神ネプチューンよ、私が探す答えを知っているのか)
   C Dm  G       Am
   (ミ) (ファ) (ソ)        

The lily of the valley doesn't know
(鈴蘭は何も知らない)

マーカー部では同じコード進行が3度繰り返されるが、3度目のみベースが高音で( )の音(3度上)を弾いてハーモニーのマイルドさが強調されている。
また、"seas"、"please"、"valley"の部分で同じメロディ、同じ歌詞を歌うリードボーカルとコーラスのタイミングをずらす(リードVo→突っ込み[シンコペーション]、コーラス→小節の頭からオンタイム)ことによって、リードボーカルをよりエモーショナルに響かせるという手法もバラードにおけるフレディのお得意のパターンとして確立された感がある。
ちなみにこの曲のコーラスはほとんどフレディ一人による多重録音である。
(0'40''〜)
Dm  C#dim        Dm
I lie in wait with open eyes
(目を開いたままじっと待っている)
    C#dim    C    F  
I carry on through stormy skies
(嵐の空を突き進む)
C
I follow every course
(いろいろな航路をたどってみる)
C
My kingdom for a horse
(一頭の馬となら我が王国も交換しよう)
   F  Em Dm C G
But each time I grow old
(しかし年老いてゆくにつれて)
C    Dm   G
Serpent of the nile
(ナイルの神サーペントよ)
  C    Dm   G
Relieve me for a while
(しばし安らぎを与えたまえ)
   C    Dm     G   C    G
   (ミ)    (ファ)    (ソ)  (ラ)   (シ)

And cast me from your spell - let me go
(そしてあなたの魔法から解き放ち自由にしておくれ)

マーカー部のベースラインも秀逸。(下図参照)
画像

このあたりはアレンジというよりも、単純にジョンのセンスであろう。
とにかく、このアルバムになってジョンがどんどん自分のカラーを発揮し始めていることが強く感じられる。
"My kingdom for a horse"というフレーズがあるが、意味(意図)が全く分からずこの記事が随分足止めを食ってしまったのだが、どうやらシェークスピアの戯曲「リチャード3世」のセリフの一節であるらしい。
また、マーカー部のテープスピードを上げて録ったとおぼしき低音のハーモニーも、リスナーを異界へと導く絶好の味付けとなっている。
ラストのマーカー部でのジョンのベースは、前のパターンを発展させて徹底的にベース音の3度上を鳴らし続ける。
もちろん、フレディがピアノの左手でベース音を弾くという前提があるからこそ成立するベースラインである。
ジョン自身はコーラスに参加することはないと思われるが、彼のベースラインが彼の声に代わってコーラスの一部を構成しているようだ。

さて、そして問題のパート。
(1'07''〜)
C          G         C Dm G C
Messenger from seven seas has flown
(七つの海からの使者が舞い降りて)

  Am                    G  
To tell the king of Rhye he's lost his throne
(ライの国王に、王の座が奪われたことを告げた)

C     Dm  G
Wars will never cease
(争いは果てることがない)
     C   Dm     G
Is there time enough for peace
(平和な時代はこないのだろうか)
     C Dm   G        Am
But the lily of the valley doesn't grow
(しかし鈴蘭が育つことはない)

鈴蘭の花言葉は「幸福の再来」。
そう、再び幸せな日々が訪れる予感すらないのだろう。

ここでもジョンのプレイは光っている。
マーカー部における、一番の盛り上がりから絶望への落差がこの曲の一番の見せ所となる。
テープ速度を落とした高音コーラス、スネアロール、ギターオーケストレーション、フォルテシモのピアノとあらゆる音が重なってくる中で、一番自己主張をしているのはやはりジョンのベースである。(下図参照)
画像

まさに、「歌うベースライン」である。
しかし、ここで腑に落ちないことがひとつ。
上記の譜例の黄色の部分が、本来のオンタイムの位置よりもほんの少しだけ前にずれ、しかもまるで、「指が弦にひっかかったはずみで音が出てしまった」かのような弦の弾き方なのだ。
これもおそらく、前曲のギターソロのラストであったようなパンチイン(ミスした箇所の部分的な録り直し)の際のタイミングミスであるように聞こえるのだが、さて真実は?
ま、いずれにせよそんなことでジョンのベースラインがくすむわけではない。

しかし、何よりもこのパート(マーカー部)で注目すべきはフレディによって語られる物語である。

思い出してもらいたい。
「Queen II」"Seven Seas of Rhye"の最後で、主人公は力強くこう宣言した。
"I'll take you to the seven seas of Rhye"
(さあ、あなたをライ王国の"七つの海"へと連れてゆこう)
その歌詞から分かることは、"七つの海"というのはライ王国に属する地名であること。
そしてその主人公は空からやってきて、神々と張り合うほどの力を持ち、ライ王国と深いかかわりがあることだ。
それが、この"Lily of the Valley"においては"七つの海"はライ王国と袂をわかつことになった?
"七つの海"からの使者がライの国王に告げた言葉はあまりに非情だ。
「あなたの王位ははく奪されました。」
クーデターによる内戦なのか、他国の侵略なのか?
「戦慄の王女」でフレディが産み出したライ王国は最期を迎えた。
そう、この曲はライ王国へのレクイエム。
それと同時に、Queenは「戦慄〜」「II」の2枚で作り上げた唯一無二の世界観にピリオドを打ったのだ。

ギターオーケストレーションに乗ってブライアンが奏でる悲しげなメロディ。
♪ミラシドミドー
ギターオーケストレーションの余韻を引きずって、単なるバラード以上に大きな役割を背負わされたフレディの名作は幕を下ろす。

さあ、次回はA面ラストの6曲目。
"Now I'm Here"(誘惑のロックンロール)。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
短い曲ながら、フレディの切実と歌い上げるところはググときますね、次は"Now I'm Here"ですかうまく繋がっていきますね。
流れ星
2008/04/02 17:57
流れ星さん、ありがとうございます。
フレディのファルセットは本当にいつ聴いても切なくなるほど色っぽいです。
この緩急のついた歌い方がQueenなんですよね。
lifeisreal
2008/04/03 00:04
こんにちは。
この曲は、メロディックでとても気に入っています。歌詞については輝ける7つの海と繋がっていることは知っていたのですが、その終焉を意味するとは・・・。初めて知りました。感謝感謝!
また、「リードボーカルとコーラスのタイミングをずらし、リードボーカルをよりエモーショナルに響かせる」は、ああ。確かに!とうなずかされました。
ちょっと前にCDを購入しようと店に行ったのですが、田舎のため現物が置いて無く断念!これはレンタルかな〜。
最近忙しく、今日やっとで休日・・・。まあ、それは置いといて。
それにしても、これまでジョンディーコンのベースを意識したことなかったのですが、コーラス部分を奏でたりしてたんですね〜。
なるほどがたくさんありました。どうもありがとうございます。
ポッキー
2008/04/04 14:18
ポッキーさん、ありがとうございます。
本当にフレディがそんな意図で詩を書いたのかどうかは分かりませんが・・・。
でも、正直、そこまで考えてないだろうなあ・・・と思いますが、結果的にそうなっているというのは事実です。
ジョンのベースは、ここらあたりから本領発揮かなと思います。
年度末で忙しい〜っと思ってたら、当り前ですが年度当初も忙し〜っ!
ポッキーさんも働き過ぎで、お疲れが出ませんように。
lifeisreal
2008/04/04 23:35

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