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zoom RSS Bring Back That Leroy Brown

<<   作成日時 : 2008/04/27 17:50   >>

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日本語にすれば「あのリロイ・ブラウンを連れ戻せ」。
まさに問題作。
ジャズバンドを思わせるピアノのライン。
快速デキシーランド風フォービートのスチャラカなリズム。
そして、ウッドベースにバンジョー。(正確にはウクレレバンジョー)
「オペラ座」、「レース」を経験してからの後追いである自分にとっては、この曲は十分に「あり」なわけだが、当時、リアルタイムで聴いていた人たちにとってはアゴがはずれるほどの驚きであったのではないだろうか。

B面の真ん中あたり。
しかも、ある意味"Queen"というカテゴリーの中では異質なジョンの曲の次。
この位置づけにバンド側の迷いと不安が垣間見える。

「Queen II」の路線ではいつかはバンドが袋小路に入り込んでしまうことが予想できる。
続「Queen II」という奇跡がもう起こり得ないことも彼らは分かっていたのだ。
そして、レコードとライブの間でのジレンマ。
この曲がライブ向きというわけではないが、この曲が受け入れられるなら何をやっても受け入れてもらえると確信できる。
それを確かめるための試金石。
そして、彼らは一歩踏み出すことにした。
結果が吉であったのか、凶であったのか。
それは聴き手が判断すればよいこと。

このアルバムが発売される前年の1973年、あるシンガーソングライターが飛行機事故で命を落とした。
決して男前とは言えない、マンガで描きやすそうな顔立ち。
しかし、彼の言葉と歌声は心に染み入る。
ジム・クローチ。
彼の全米ナンバーワンヒット、"Bad, Bad Leroy Brown"(邦題・ルロイブラウンは悪いやつ)から主人公を拝借し、彼への追悼の気持ちを込めたアンサーソングなのだろう。
ジムの曲に登場する"Leroy Brown"は救いようのないほどのワルらしい。
人妻に手を出したあげく、男二人がかりでケチョンケチョンに痛めつけられ最後には・・・
"Leroy looked like a jigsaw puzzle with a couple of pieces gone"
(リロイはいくつかのピースが欠けたジグソーパズルのようだった)
くたばってしまったのかと思ったら、悪ははびこるとはよく言ったものでピンピンして戻ってきた。
そう、フレディがジム・クローチの思い出とともに連れ戻してきたのだ。

"Killer Queen"の記事にも追加で記したが、この曲でも"jungle piano"のキラキラした音が軽やかさを増幅させている。
"jungle piano"とは、ピアノの弦を叩くハンマーに金属片を打ち込み金属的で軽い音が得られるようになっているものだとのこと。
全くこのピアノのことを知らなかったため、"Killer Queen"は、ピアノ+ハープシコードであの鍵盤の響きを作っていたのだと思っていたがpiano+"jungle piano"だったのだ。
The Beatlesの"You Never Give Me Your Money"(「Abbey Road」収録)のアップテンポになる中間部でその音色をばっちり聴くことができる。
またStyxの「Paradise Theatre」のラストを飾る小曲"State Street Sadie"のピアノもひょっとして"jungle piano"?
時にコミカルに、時にリリカルに曲に彩りを与えてくれる。

前曲「Misfire」が完全に終わりきらぬうちに、ロジャーのスネアを合図に突入。
レフトチャンネルからのウクレレバンジョーが、ライトチャンネルからはコーラス(合いの手?フレディひとりでの多重録音)が軽やかに響く。
ほぼセンターに定位していると思われるピアノ。
ジョンと同じベースラインをプレイする左手側は比較的聞き取りやすいが、和音を小気味よく刻む右手側は非常に聞き取りにくい。
その右手にかぶさって時々ジャングル・ピアノらしき響きも聞こえてくるように感じられるのだが・・・。
(0'08''〜)
Bet your bottom dollar bill you're a playboy
(「さあ、最後の1ドルも賭けちまえよ、色男!」)
Daddy cool with a ninety dollar smile
(伊達男は90ドルの微笑みを浮かべて)
Took my money out of gratitude
(お礼に俺の金を巻き上げて)
And he git right outta town
(やつはさっさとこの町からとんずらさ)
I gotta getty up, steady up, shoot him down
(さあ、立ち上がって、気持ちひきしめて、やつにぶっぱなす)
Gotta hit that latitude
(さあ、奴のところまで追いかけてゆくぞ)

パブで一杯やりながら、出会った男にLeroy Brownの話をする男。
歌詞中で"you"という代名詞が登場するのは最初と最後のパラグラフの2か所だけ。
最後の"you"は、語りかけている相手を指すのが明白であるが、上記の冒頭部分に登場する"you"が誰の事だか分からない。
そこで苦肉の解釈。
最初の1行はこの語り手に向かって声をかける"Leroy"の言葉だと考えると辻褄が合う。
つまり"you"はこの語り手のことになる。

また、韻に関して少々。
それぞれのマーカー部で韻を踏んでいるが、そのために最終行では意味的には必然性のない"latitude(緯度)"という言葉が飛び出すことに。
これを合理的に日本語にするのはかなり困難である。
ま、細かいことにこだわらずに楽しめということであろう。

フレディのハーモニーでぐいぐい引っ張ってゆくボーカルライン。
ライトチャンネルを中心に飛び出すコーラス。
しかし、何と言ってもこの曲のお楽しみはソロタイム(0'49''〜)であろう。
まずはリズムセクション。
ジョンとフレディの左手が快調にウォーキング。
そこへ、らしくないジャジーなブライアンのソロ。(下図参照)
画像

ロックな耳での耳コピなので少々ポジショニングで間違いはあるかもしれない。
そして、ダブルベースの登場。(0'59''〜)
残念ながらたった2小節のみではあるが、インパクトとしては十分である。
そしてソロの締めくくりはレフトチャンネル化らのキラキラした"jungle piano"(1'01''〜)。
3コーラス目が始まるまでのたった4小節。
いかにもジャジーな切り返しでソロは締めくくられる。

ソロ後には、なぜかウクレレはライトチャンネルへ、コーラス(合いの手)はレフトチャンネルへ。
やがて、物語は思わぬ方向へ。
(1'48''〜)
Big bad caused a mighty fine sensation
(リロイ・ブラウンは信じられないセンセーションを巻き起こした)
Gone and got himself elected president
(立候補し大統領に当選したのだ)

Next time, you gotta hit a bitty baddy weather
(次にはとんでもない最悪の天気かも)
This time, like a shimmy, shammy leather
(今回は踊りだしたくなるようなセーム皮みたい)
He's a big boy, bad boy, Leroy
(奴はでかい図体、最悪のリロイ)
I don't care where you get him from
(奴をどこから連れてこようがかまわないよ)
Bring that big bad Leroy back
(さあ、リロイを連れ戻してくれ)
Want him back
(奴を連れて来い!)

気付けば、Leroy Brownは大統領へ。
ウクレレソロで祝福だ。
マーカー部のようにひたすら言葉遊びに終始する部分も。
そして、最後の最後までこの主人公は「リロイを連れ戻せ」と連呼するわけだ。
なぜ?
ひょっとすると、実はリロイはすごく魅力的な人物で彼に再会したくてしかたがないのかもしれない。

ジム・クローチが創造したリロイ・ブラウンはみんなから憎まれ、愛されながら大統領になってしまった。
一番驚いているのは、天国にいるジム・クローチ自身だろう。
天国でフレディと、リロイのことについて話しただろうか?

さて、次回はB面6曲目。
"She Makes Me"

Jim Croce "Bad, Bad, Leroy Brown"


初期のライブではお馴染み、インスト版"Leroy Brown"。
77年 Earl's Court



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Lazing on a Sunday Afternoon (うつろな日曜日)
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2008/05/25 12:45
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2008/07/08 03:31

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
なるほど、QUEENのこの曲は、亡くなったジム・クローチとの関係があったのですね。
こうした事を踏まえたうえで聴くと、なんか悲しいですね。
流れ星
2008/04/28 17:41
こんばんは(゜▽゜)

今夜、なぜか”GREATEST HITS volT”を聴きました! 当然、好きな曲だけやん(^^)

しかし、フレディー、ブライアンがなかなか達成しえなかった‥、全米1位を”地獄へ道づれ”で、いとも簡単にやってのけたジョン(゜▽゜)

今から考えると、すんごい人ですね!!!

久米宏みたいな顔してんのに。。。

幸せな家族に包まれて今は…。

大器晩成! そのものかもですネ。


全然関係ナイねんけど…

オッチャンは気付きました。。。


”ボヘミアン・ラプソディ”より…

”天国への階段”が…1番心が休まる曲やなぁーって( ̄▽ ̄;)

やっぱり、QUEENはQUEENやけど…

”ZEP”は”ZEP”やんなあーって!!!
KENONE
2008/04/28 21:11
流れ星さん、いつもありがとうございます。
失礼ながら、ジム・クローチってあんな外見なんで、てっきりブルースシンガーだと思ってました。
今回、いろいろYouTubeで聴いてみてJDサウザーとか、サイモン&ガーファンクルみたいでびっくりしました。
何事も直接確認してみないとだめですね。
反省。
lifeisreal
2008/04/29 01:24
オッチャン、ありがとうございます。
ここからのジョンの活躍は目を見張るものがあります。
もちろん、最後に入った弟分であるにもかかわらず、ちゃんと彼を尊重しチャンスを与えていった他のメンバーも偉い。
(●タリカのベーシストJ氏のようにいつまでも半人前扱いされてた例もありますからね。ま、それだけクリフの存在が大きかったってことなんですが・・・)
"Stairway to Heaven"の偉大さもよく分かっております。
これまでに、アコギであの前半のアルペジオを弾いた回数は何百回にもなると思います。
あのギター、リコーダー、そしてロバートの歌。
どれもが切なく心に訴えかけてきます。
もちろん、後半パートのジョンジー・ボンゾのリズム隊の炸裂も大好きですけどね。
lifeisreal
2008/04/29 01:32

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