My Fairy Kingdom

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zoom RSS The Millionaire Waltz

<<   作成日時 : 2008/12/31 19:20   >>

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日本語にすれば「100万長者のワルツ」。
日本で100万円持っていても、もはや"長者"と呼ばれることはないが、もちろん舞台はイギリス。
ということで、£1=130円(2008年12月現在)で換算すれば1億3千万円。
十分"長者"と呼ぶにあたいする・・・と、思うのは貧しき庶民感覚?

これぞフレディ流つぎはぎ創作法の最高峰。
当時、彼らのマネージメントを担当していたジョン・リードのことを歌ったと言われている。
ドロドロの裁判沙汰の末、デビュー時より彼らをマネージメントしてきたトライデント(ノーマン・シェフィールド)との関係を断ち切ったのが前年(1975年)の8月。
(ノーマンとの経緯は"Death on Two Legs"参照)
それ以来、このジョン・リードが彼らのマネージャーとなった。
しかし、飛ぶ鳥を落とす勢いであったエルトン・ジョンとQueenとを掛け持ちするのは容易ではなく、バンド側は不満を募らせ、この約1年後には関係を解消することになる。
その後、バンドはマネージメント会社にすっかり懲りてしまい、思い切った方法を選ぶことになるが、それはまだもう少し先の話。

ライトチャンネルに定位させたピアノから曲はスタートする。
キーはF。
続いてレフトチャンネルからはジョンのベース。
ライブの映像では指弾きであるが、スタジオバージョンはピックらしきアタックが聴こえる。
(下図参照↓0'07''〜)
画像

ピアノとベースを分離して配置することによって、それぞれがクリアに聞き分けられるように配慮してしてある。
そう、このジョンのプレイがこの曲の見せ場のひとつ。
イントロが終わり、フレディの歌が入ってきたところでピアノとベースは徐々にセンターへと定位を変える。
そういった大胆なパンニングが微笑ましい。
Bring out the charge of the love brigade
(さあ、勢いよく出ておいで!恋人たち!)
There is spring in the air once again
(そよ風にはまた春の息吹)
Drink to the sound of the song parade
(パレードのメロディに合わせてグラスを傾けましょう)
There is music and love everywhere
(音楽も愛もどこにでもあるのね)
Give a little love to me
(少しだけ愛を分けてちょうだい)
Take a little love from me, I want to share it with you
(少しだけ愛を持っていっていいのよ、あなたと分かち合いたいの)
I feel like a millionaire
(まるで100万長者になった気分よ)
1行目の"the charge of love brigade"とは、クリミア戦争中のバラクラヴァの戦いにおけるイギリスの騎兵隊のロシア軍への突撃"Charge of the light brigade(軽騎兵旅団の突撃)"に着想を得たと思われる表現。
まさに有頂天!
悪徳マネージメントから解放されて、得るべきものを得た喜びが行間からもひしひしと伝わってくる。
そして、ブライアンの"これでもかっ"のオーケストレーション。
(下図参照 0'43''〜)
画像

レフトとライトのギターが交互にメロディを奏で、センターの和音は実際には3音以上は鳴っている感じ。
ベースのラインも絡まってまるでメリーゴーラウンド!
それを中心でコンダクトしてゆくのはもちろんフレディ。
そう、これがQueenなのだ。

一転、マイナームードの回想シーンパートへ。
あんなに楽しそうだったのに、実は愛する人はどこか遠くに行ってしまったらしい。
0'58''〜
Fm                 C
Once we were mad, we were happy
(あの頃、私達はクレイジーで幸せだったわ)
            F      A#    F
We spent all our days holding hands together
(一緒に手に手をとって日々を送ったわね)
     Dm  C  A# A
Do you remember, my love?
(ねえあなた、あの頃のこと覚えてる?)
     Dm      A
How we danced and played
(どんな風に踊り、どんな風にはしゃいだか)
     Dm  A
In the rain we laid
(雨の中で体を絡ませ)
             Dm G    C     F
Wish that we could stay there, forever and ever
(永遠にあの場所にいたかったのよ、心から)
前パートはFで終わり、このパートはFmでスタート。
しかし次第にFへ。
こうなると無学な筆者には、転調したのかしてないのかすらよくわからないが、そんなことはフレディワールドを楽しむにはどうでもよいことなのだ。
それよりもむしろ赤文字部の"laid"(layの過去形)に注目したい。
自動詞"lie"(横になる、寝ころぶ)と他動詞"lay"(横たえる、寝かせる)の違いは受験生の必須事項。
が、文末にこの語が配されているということは基本的に自動詞となる。
もちろん、下線部の"played"と韻を踏むために、本来この語の後に続くべき目的語(ここだと"ourselves"?)を省略してしまったともとれるが・・・。
しかし、調べてみると"lay"にはいくつか自動詞としての使い方もあるのだ。
その中のひとつは"セックスする"。
もちろん俗語としての扱いではあるが・・・。
などとくだらないことを考えている間にブライアンの最初のソロタイム。
(下図参照↓1'48''〜)
画像

フレディの呼吸に合わせ次第にテンポを上げてゆく。
特に"Come back, come back to me"のコーラスがかぶさってくる8小節目(2'04''〜)からの全てのパートの絡み具合、これぞまさにQueen。(このフレーズの音が正しいかどうかは保証の限りではない)
そしてまたフレディの呼吸通りにスローダウン。

だが、ふと冷静に考えてみると、かなりリズミカルな曲だと言うのに、始まって2分以上経ってもまだロジャーのドラムが全く登場していない!
そう、ご心配なく。
いよいよ、ドタバタロジャーも登場するのだ。
ブライアンのフレーズを合図に絶叫ハードパートへ突入だ!(下図参照↓2'21''〜)
画像

ギター、ベース、ドラムがユニゾンで動くのに対して、ピアノが16分音符で和音を刻む。
ヘビーなリズム隊に乗ってフレディが叫ぶ。
喉がはりさけんばかりの絶叫&ヘビーリフはたたみ掛けるように収束。

そして再び穏やかなワルツパートへ。
さあさあ、まるで"美しき青きドナウ"のようにブライアンの流れるようなメロディ。
「2001年宇宙の旅」を思い浮かべたのは筆者だけではないはず。
(下図参照↓2'51''〜)
画像

またまたロジャーはシンバル(両手で持って"パシャ〜ン")で登場するのみであるが、ジョンの音のコントロール(音数&長さ)とフレディの淡々としたピアノがブライアンを盛りたててゆく。
上図、中盤以降のオーケストレーション入り乱れるあたりに関しては全く保証の限りではない。

次なるパートはフレディのモノローグ。
珍しく低音の魅力で迫ってくるのだ。
3'26''〜
My fine friend - take me wiz you unt love me forever
(素敵な友よ-私を一緒に連れて行って永遠に愛して)
My fine friend - forever - forever
(素晴らしい友よ-いつまでも)

青文字部"wiz"はもちろん"with"のことであるが、"wiz"とは"wizard([男性の]魔法使い)"の短縮系として用いられることもある。
ということは、その後に続く"you"に"私に魔法をかけた(男性の)あなた"という含みを持たせているのではというのは考えすぎか?
また、緑文字部"unt"とはドイツ語"und"の変形?
意味としては"and"と同じであると考えられる。

やがて低音のフレディを引き継ぎ、柔らかなギター+ピアノへ。
すると一転、ファンファーレを思わせるギターのフレーズとともにイントロのパターンへ。
ギターとハーモニーでゴージャスに彩られ、めくるめくフレディワールドは大団円。
"The March of the Black Queen"を髣髴とさせるフレディの黄金方程式。

しかし、これだけてんこ盛りでなんと5分以下。
"Bohemian Rhapsody"以上に色とりどりのパーツを詰め込んでいるにもかかわらず、約1分も短い。
これを驚異と言わずして何と言う?
そう、まさにフレディワールドの最高峰。
このアルバムを最後に、彼は全くこのスタイルの曲を書かなくなる。
("Mustapha"と"Bicycle Race"だけがこの名残をとどめてはいるが・・・)
ある意味、ここで究めてしまったのかも知れない。

バンドとしてのQueen、ボーカリストとしてのフレディは確実にパワーアップしてゆくのだが、これ以降のピアニストとしてのフレディや彼の作品に対して少なからず物足りなさを感じているのは筆者だけではないはずである。
だが、もう誰にも止められない。
"Show Must Go On"。
迷っても、絶望しても、苦しくても、続けてゆくしかないのだ。

いよいよ「華麗なるレース」もA面ラスト。
またしてもジョンはリスナーを裏切った!(もちろんいい意味で)
5曲目、"You and I"。

The Millionaire Waltz '77 Earl's Court
イントロはフレディ、ジョン共に少し怪しい。
ライブでこの曲のイントロを弾くジョンはいつも怪しい。
2'16''のギターソロ後半ド頭の1音のみと2'42''からのフレディの声にはピッチチェンジャー(ハーモナイザー)がかけられている。
この頃のピッチチェンジャーはスケール対応のものではなく、入力音に対して常に一定の音程差しか出せないため、このフレディのように3度下でかけたりするこんな風に気持ちの悪いハーモニーになってしまう。
この経験を活かして次作の収録の"Get Down Make Love"においてピッチチェンジャーが狂ったように炸裂することになる。


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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
あけましておめでとうございます。
今年もちょくちょくお邪魔させてもらいます。

前回の“You Take My Breath Away”そして“The Millionaire Waltz”“Somebody To Love”とよく考えるとフレディは大傑作をこのアルバムに詰め込んでますね。
歌詞も意味深で、豪華絢爛な曲調、どうやったらこんな展開が、発想が出てくるのでしょうか。

ちなみにこの曲ではブライアンが「ギターオーケストレーションで24トラックをすべて埋めた」と語っているのを何かの記事で読んだことがあるのですが、バウンスしてこんなにきれいに聞こえるのでしょうか?
それともバウンスした結果が特有の“チリチリ”といわれる音なのでしょうか?
ぴぐのーず
2009/01/07 00:20
あけましておめでとうございます、ぴぐのーずさん。
今年もよろしくお願いします。

"Procession"を始めこれ以前にも数々のギターオーケストレーションがありました。
しかし、この曲では完全に別次元の奥行きを感じさせる立体的なオーケストレーションを構築しています。
回転速度の操作orピッチチェンジャーで通常の音域を超えるところまでカバーしています。
おそらく1度に20以上のトラックを同時に鳴らすというところまではいっていないとは思いますが、曲を通して考えると20以上のトラック数が必要だったというのはうなずけます。
特に2'20''〜のオーケストレーションが特徴的です。
表のフレーズはあくまでもシンプル。
対して、空間の構築はまさに"Sound of Wall"といった音の塊。
ハーモニーだけではなく、同じ音が何重にもかさねられているのがわかります。

・・・続く
lifeisreal
2009/01/07 22:44
このアルバムの冒頭の"White Man"イントロダクションから"Tie Your Mother Down"に移るまでの間の上昇フレーズのオーケストレーションが、今までと全く違った発想で作られていますが、この曲にもその発想が活かされています。

20以上ものトラックにわたるギターオーケストレーションは、当然ミキシングの前に一旦バウンス(ピンポン)することになりますが、それがきれいにコントロールされているのはおそらくイコライジングの技量なのではないでしょうか。
それぞれのトラックを組み合わせてベストの状態となるように、それぞれのトラックの音域に合わせてかなりデリケートなイコライジングが施されているのだと思います。
これぞ職人技です。

ぴぐのーずさんのおっしゃる"チリチリ"というのが、もうひとつよく分からないのですが、また具体例を教えていただけるとありがたいです。
lifeisreal
2009/01/07 22:58
イコライジングですか、なるほど。
このアルバムはQUEENのセルフプロデュース、5枚目のアルバムでこれだけの技術を習得した彼らは凄すぎます。
イコライジングには慣れておらず適当な使い方さえできないのでどのようにしたのか見当もつきません(泣)。

それから、ハーモニー以外に同じ音が重ねられているというのはブライアンにしては珍しいことだと思います。
彼は一つの音に対してダブルやトリプルで音を重ねないそうですので。

2'20''〜というのはシャッフルになる最初のギターリフですよね。
ここのオーケストレーションというのが分かりませんでした。
ここは単音のリフにしか聞こえません…。
ぴぐのーず
2009/01/08 00:01
“チリチリ”というのは“Procession”の0’41”〜の右から聞こえてくる方のパートや、“The Wedding March”の全篇で聞こえる、アタック音が通常のギター音とは違ったもののことです。
よくブライアンのトーン研究なんかで“チリチリ”やら“ミーン”といわれるものがこれではないかと思っていたのですが、分かりにくい言い方で申し訳ありませんでした。
でも僕もこの言い表し方には疑問を持っているわけでlifeisrealがご理解いただけなかったのが正直うれしいです(^−^)

それにしてもこんなアルバムを年1枚のペースでリリースしていた当時のQUEENは凄い…。

長くなって申し訳ありません。
ぴぐのーず
2009/01/08 00:02
ぴぐのーずさん、ごめんなさい!
2'20''〜からというのは間違いです。
正しくは2'10''〜です。
失礼しました。
取り急ぎ訂正です。

それと、"チリチリ"っていうの分かりました。
言われてみたら確かにそう聞こえます。
これはおそらくワウの半開きで音色をコントロールする際の特徴ではないでしょうか。
特にギターオーケストレーションの際には、ワウの半開きでトーンを変えていることが多いです。
40%くらい踏み込んだ状態から少しずつ踏み込んで止めながら音色の変化をチェックしてゆくと、ブライアン風の"チリチリ"ポイントが見つかると思います。
お試しください。
lifeisreal
2009/01/08 00:15
さらに引き続きぴぐのーずさん。
"Procession"や"God Save the Queen"もかなりの数のギターが重ねられていて広がりはありますが、音の厚みや奥行きに関してはかなりもの足らないところがあります。
それがバンドというアンサンブルの中にあるのなら、あまり物足りなさは感じないと思います。
しかし、この曲におけるオーケストレーションの持つ厚みは、単に音域以上のものが感じられるので同じ音も重ねているのではないかと推測していますが、客観的なデータがあるわけではありません。
いつも裏付けなしの思いつきで申し訳ありませんが、その可能性は非常に高いと思います。
lifeisreal
2009/01/08 20:26
こんばんは。&あけましておめでとうございます

ミリオネア・ワルツ、深いですね。
ギターの奥行き、確かにあると思います!
調弦を少し変えたかハーモナイザーで少しいじった、そんな音を重ねたのでしょうか。
いずれにせよ、ブライアンは天才。

ところで、ライヴ音源、一瞬ハーモナイザー出てきてますね。
で、持っている他のものも聞いてみるとハーモナイザー・・。
なんで今まで気づかなかったんだ。
フレディが二人いるように聞こえていた理由がハッキリしました。

次はジョンの曲・・楽しみです。
まいてふ
2009/01/09 22:25
まいてふさん、ありがとうございます。
ペースの遅さに懲りずに今年もお付き合いいただければうれしいです。
そう、ハーモナイザー。
この頃はまだ"No Synthesizers!"。
そんな中でシンセを使わずに色々と新しいテクノロジーを模索していたのではないでしょうか。
この後のツアー以降、"Get Down Make Love"においてハーモナイザーが炸裂することになりますが、本来のハーモニーを作るという目的で使用されるようになるのは、はるかずっと後のブライアンのソロツアーになります。

それにしても、今更ながらすごいバンドです。
lifeisreal
2009/01/09 22:45
すいません、にわかファンなんですが
この時期のライブが特に大好きでハマってます!

Queenファンの方のサイトは充実したものが多いですねw
このブログもすごく深くて面白いです!
ありがとうございます!
これからもチェックします。

しょうへい
2015/09/08 04:48

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