My Fairy Kingdom

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<<   作成日時 : 2008/04/21 01:30   >>

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日本語にすれば、「不発」。
ジョン作。
初めてレコードに収録された曲のタイトルが「不発」とは・・・。

曲中のほとんどのギターはジョンによるプレイとのこと。
このアルバムでは、アコースティックギターを中心にジョンがかなりのギターを弾いているが、肝炎によるブライアンの入院の影響が大きいのであろう。
そのことはまた、このアルバムが前作「〜II」のような統一コンセプトの作品とは対極のアルバムとなったことにも少なからず影響しているだろう。
その結果、ジョンにもチャンスがまわってきた。
それが神の下した決断だったのだ。

アコースティックギターのカッティングで幕を開ける。
音色は今までのQueenサウンドとは驚くほどかけ離れている。
この頃のアコースティックギターの録り方としては、ボーカル同様マイクを立てるスタイルがスタンダード。
しかし、このギターはマイク録音ではなく、マグネティック式のピックアップ(いわゆるエレキギターについているものと同じ方式)をつけて録ったように聴こえる。
弦の「鉄くささ」が強調されるミッドが膨らんだ音。
絶対にブライアンはこんな音にはしない。
ブリティッシュではなく、アメリカンな音。

ロジャーが叩くティンバレス(0'03''、Queen初登場)を合図に本編スタート。
(下図参照)
画像

ジョン自身がプレイする、いわゆる"ロック"から逸脱するベースライン。
ファンク?ラテン?
特に黄色の部分がぽっかり休符になるところがミソ。

それに対し、執拗に繰り返されるブライアンのオーケストレーション。
3本のギターが「これでもか!」と鳴り続ける。
歌が入ってきても、リードボーカルをレフトチャンネルに押し込めライトチャンネルからギターの応酬。(サビはそれぞれ逆チャンネルへ)
ギターの分担に関しては、この歌バックのオーケストレーションのみがブライアンのようだ。
(アコースティック及びソロはジョンの可能性高し)
Don't you misfire
(失敗しちゃだめよ)
Fill me up with the desire to carry on
(果てしない欲望で私を満たして)

Don't you know honey, that love's a game
(愛はゲームだって、知ってるわよねハニー)
It's always hit or miss, so take your aim
(いつも失敗か成功かのどちらか、だからしっかり狙いを定めて)
Got to hold on tight, shoot me out of sight
(しっかり握って、ばっちり私を撃ち抜いて)

歌詞はかなりセクシャルな内容。
しかも、女性から男へのメッセージ。
わざわざリードボーカルをレフトとライトに振り分け、声のトーンも変えているので、"Brighton Rock"のように男女の会話として解釈すべきかとも思ったがどうも違うようだ。
そう、ジョンが作り出した世界は今までのQueenからは想像もできないものである。

転調してのギターソロ(0'38''〜)はおそらくジョンのプレイ。
バックからはオーケストレーションが消え、代わりにフレディのハーモニーがサポートする。
ソロというよりもコードトーンをばらしたアルペジオ。
(下図参照)
画像

コードから考えると。締めくくりの黄色の部分は明らかにミス。
(「8/4,6/3, 10/4,8/3, 12/4,10/3」が正解)
このミスのため、間奏から2コーラス目(A#へ)の転調がうまく決まらず、違和感を残す繋がりとなっている。

エンディングにかけては度々転調が繰り返される。
(A#[2コーラス目]→C→C#→D#〜)
そこで繰り広げられるギターオーケストレーションは、"Killer Queen"のエンディングを髣髴とさせるものである。

1コーラス目から2コーラス目への転調(短3度上)やソロ部のコード展開、エンディングのしつこいまでの転調など、構成的にはかなり10cc(ゴドレー&クレーム作品)に通じる奔放さが伝わってくる。
だが、この曲を初めて聴いた時から全く変わらない疑問がひとつある。
「なぜブライアンはこんなに執拗なまでにギター(オーケストレーション)を詰め込まねばならなかったのか?」

退院してすぐに、3rdアルバムのレコーディングセッションが始まったスタジオにかけつけたブライアン。
フレ「今回はジョンも曲を書いたんだ。ギターもジョンが弾いて完成しているんだ。聴いてごらんよ。」
ブラ「(な、な、なんだ一体この陽気なラテン音楽は?ジョンやみんなはいったいどうしちゃったんだ?ロジャーなんかティンバレスでご機嫌そうだよ。歌詞はなんだか際どいし。こんな曲アルバムに入れたら、"ブリティッシュハードロックの雄、Queenに絶望"とか書かれるよ!何とか今までのQueen色にしなければ!)そ、そ、そうだね。ジョンらしくていいよ。ジョンの処女作を記念して、ぼ、ぼ、僕にも少しギターをダビングさせてよ。」
ジョ「もちろんだよ。かっこよく仕上げてね。」

・・・というようなやり取りや葛藤があったのかどうかは分からない。
しかし、あまりにしつこく繰り返されるブライアンのギターからは、「何とかこれまでの路線に近づけるぞ!」という執念が感じられる。
どう考えてもボーカルのバックに延々ギターハーモニーが繰り返されるのは正常ではない。
裏にはかなりの覚悟があったはずだ。

少し遅れて作家デビューしたジョン。
この後、彼がQueenを代表するような曲を書きあげる日が来ることを、まだ誰も知らない。

さて、次回、B面も5曲目に。
フレディ炸裂!"Bring Back That Leroy Brown"。

追記
遂に念願の"Great King Rat"のライブ音源がYouTubeに!
"Great King Rat"のページに追加しました。

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Lazing on a Sunday Afternoon (うつろな日曜日)
切れ味鋭いハーモニーで前曲が唐突に幕を閉じる。 するといきなりレトロなほんわかピアノ。 これぞQueenの真骨頂! 前作の"Misfire"、"Bring Back That Leroy Brown"といった「異端児」で探りを入れた成果が、いきなりここで花開く。 前作で虜となり、このアルバムに手を染めた中毒患者は思わずにんまりしたに違いない。 ...続きを見る
My Fairy Kingdom
2008/05/25 12:45
You and I
文字通り「君と僕」。 この頃のQueenには全く初めての、ピアノ主体の軽快な8ビート。 ギターオーケストレーションとハーモニーもそれなりに。 当時、多くから評されたように、まさにエルトン・ジョン風。 現在の視点から例えるならば、ビリー・ジョエルかベン・フォールズ。 そう、ぜひベン・フォールズにプレイしてもらいたい一曲。 コテコテで奔放に展開してゆく"The Millionaire Waltz"とは対照的。 Queenのパーツを纏いながらも、確実に今までのQueenにはなかった... ...続きを見る
My Fairy Kingdom
2009/01/24 14:29
Good Old-Fashioned Lover Boy (懐かしのラバーボーイ)
「いかすね、古いタイプの色男」。 フレディ作。 ポップセンス全開。 されど、過剰過ぎる装飾はなし。 プレイヤーとしての4人のメンバーのバランスが非常によい。 特にブライアンのプレイは、このタイプの曲の中ではピカイチ! 「Race Tour」、「News of the World Tour」ではメドレーの一部としてプレイされた。 特にブート映像でお馴染みの「Live in Houston」で代表される後者においては、この曲や"The Millionaire〜"、"Get Dow... ...続きを見る
My Fairy Kingdom
2009/03/16 19:28
Who Needs You (恋のゆくえ)
タイトルを日本語にすれば「誰も君を必要となんかしてないよ」。 いわゆる修辞疑問文(反語)。 肯定の疑問形で強い否定を表わす。 女子に翻弄される男子の強がる気持ちをジョンが描き出す。 表情豊かなフレディのボーカルがジョンの世界観に命を吹き込む。 完全にベースレスで、ジョンもガットギターをプレイ。 ...続きを見る
My Fairy Kingdom
2009/12/12 20:51

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
そうですか、ジョン作ですか私結構ジョンが作る曲好きですね。
軽快な曲で、確かにアメリカン。
この曲はギターが左、右とめまぐるしく換わってますね。
うまく計算されて録音されてると感じますね。
流れ星
2008/04/21 19:58
ジョンの曲では”永遠の翼”がBEST1ですネ(゜▽゜)

貴重な”Great King Rat”
ありがとうございました!(^^)!
私たちにとっては、音源の悪さとか演奏の出来なんか関係ないんですよネ!
QUEENがそこにいれば…!(^^)!
ありがとうございました!
KENONE
2008/04/21 21:03
流れ星さん、ありがとうございます。
ジョンはいい意味でこだわりがなく、いろんなスタイルの曲を提示してくれるのでうれしいです。
悪い言い方をすれば節操がないということになりますが、その柔軟さがQueenを生きながらえさせたといっても過言ではありませんよね。
lifeisreal
2008/04/21 23:56
オッチャン、ありがとうございます。
"永遠の翼"と"All Dead, All Dead"がなかったらあのアルバムは一体どうなっていただろう。
あのアルバムを初めて聴いた時の失望感は今でも忘れません。

そうそう、たとえブライアンが心乱れていようとも、この曲のライブ音源が聴けるなんて・・・。
本当に幸せです。
lifeisreal
2008/04/22 22:21
こんばんは(゜▽゜)

このアルバムを通しでこんなに聴いたのは何年ぶりやろう?

高2以来かもですヨ(゜o゜)\(-_-)
さっ、34年ぶり…!(^^)!

あなたに巡り逢えて…
オッチャンは幸せです。。。


好きなバンドはいっぱいあるけど


やっぱり、オッチャンには”QUEEN”が…
KENONE
2008/04/24 20:44
オッチャン、ありがとうございます。
身に余るお言葉に、ただただ感謝です。

気持は自分も全く同じです。
中学、高校の頃は歌詞カードとにらめっこしながら、文字通り擦り切れるまでレコードを聴きました。
そして気がつけば、歌詞を見なくても一字一句間違えることなく歌えるようになっていました。
でも、大人になり、いつしか音楽は「通勤途上のの車の中で聴くもの」になってしまっていました。
もう一度あの頃の音楽への情熱を思い出したいと思い、こんなブログを始めました。
これからもがんばりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。

感謝!
lifeisreal
2008/04/24 22:22

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