Fun It

B面に入って、ハードロック、バラード、ジャズといった変幻自在ぶり。 これぞまさにQueen! しかしQueenの未来は一体どこに? そうここにあるのだ。 前作収録の"Fight from the Inside"でファンクへの接近を試みたロジャー。 この"Fun It"で彼なりのファンクが完結することになる。 それにしても残念なのは、この作品以降、彼がファンクスタイルへのアプローチを止めてしまったこと。 そのスタイルを引き継いだジョンがアメリカで爆発的なヒットを収めることになろうとは、まだ誰も知らない。 そう、一歩先を行き過ぎていた男。 それがロジャーなのだ。 そう"Fun It"。 日本語にすれば"楽しもう"。 明記はされていないが、いつものロジャー作品のようにベースとバッキングギターはロジャー自身のプレイの可能性が高い。 それにしても、いわゆる"Queenファン"と自称している人でも、タイトルを聞いてもピンとこない人は少なくないだろう。 ブライアンの"She Makes Me"とどっちが認知度が低いだろう。 どっちも、個人的には結構好きなナンバーなのだが。 一聴すると非常にタイトだが、Queenらしきムダのいっぱい詰まったナンバーと言えるだろう。 しかも2つの新たな試みが。 ひとつは、ロジャーとフレディのダブルボーカル。 知らぬ間に入れ替わっていた"Sheer Heart Attack"とは異なり、計算した振り分けが行われている。 それともう一つ。…

続きを読む

Dreamers Ball

タイトルは「夢見る者たちの舞踏会」。 ブライアンの手によるデキシーランドジャズナンバー。 この前年になくなったエルビス・プレスリーへのトリビュート。 このアルバムタイトルにもっともふさわしい曲である。 前作「世界に捧ぐ」でどっぷりのブルーズナンバー"Sleeping on the Sidewalk"を披露したブライアンであるが、さらにディープなルーツへの旅となる。 ここでの"ball"は「舞踏会、パーティ、お楽しみ」のことであるが、この後登場するフレディ作品にもこの言葉が登場する。 また、ご存知の通り、このアルバムの発売直前にプロモーションとしてジャズの聖地ニューオリンズでバンド主催(フレディ主催?)の乱痴気騒ぎがおこなわれた。 この頃の彼らを象徴する出来事と言えるだろう。 ゆったりとした4ビートに乗せて展開するのは、あまりブライアンらしからぬ世界観。 主人公が男性なのか、女性なのか、また"You(あなた)"も男性なのか女性なのか・・・。 何もかもが曖昧なのだ。 それがフレディの放つフェロモンとベストマッチング。 なんとも淫靡な空気を醸し出すのだ。 そう、都会の夜がまだ薄暗かった頃の物語。 フレディのアイドルLiza Minnelliの"Cabaret"的な世界観なのだろうか。 とにかく前作での鬱憤を晴らすかのように執拗なまでにギターオーケストレーションが登場するのだ。 基本的に3本のギターでホーンセクションをシミュレイト。 フレーズの組み立ては、トラ…

続きを読む

In Only Seven Days (7日間)

雷鳴に続く激しい雨音。 それとクロスフェイドして聴こえてくるリリカルなピアノ。 日本語にするなら「たった7日のうちに」。 前作でのカリプソ風トロピカル路線に続き、今作ではなんとボサノバ。 自身のプレイするガットギター&ベースはもちろん、フレディのピアノとブライアンのギターオーケストレーションを効果的にアレンジすることで、驚くほど洗練されたバラードに仕立てあげてしまった。 しかも、これも前作に収録されていた"Spread Your Wings"同様にハーモニーを完全に排除することで、このストーリーに説得性を持たせるモノローグ色が強調される結果となっている。 恐るべしジョン。 自己のスタイルなど持たないゆえに、フレキシブルに全てを飲み込んで消化してしまうのだ。 イントロのピアノをギターに置き換えると以下の通り。 さあ、1週間の始まりは月曜日から。Monday the start of my holiday (月曜、僕の休日の始まり) Freedom for just one week (たった1週間の自由) Feels good to get away oooh (現実から離れることができるのは心地よいことだ)バッキングはピアノと指弾きのガットギター。 高音でメロディラインをサポートしながらのプレイとなる。 (下図参照↓0'05''~)実際のギターのフレーズに少々ピアノのフレーズ(赤枠部など)も加味しての弾き語り用アレンジ。 実際にはガットギターも2本プレイさ…

続きを読む

Dead On Time

さあ、Queenの未来を暗示させるB面へ。 その中で先陣を切るのは、ブライアン作の疾走オールドスクール・ハードロックチューン。 まるでA面を締めくくったフレディと示し合せたかのように、Zepテイストのブルーズハードナンバー。 ブライアンを代表するハードロックチューンとなっても不思議はないほどのクオリティなのに、この知名度や評価の低さは一体なぜ? その答えはQueenの未来が示しているのかもしれない。 非常に日本語に変換しにくいタイトルではあるが「あの世に逝くのもオンタイム」とでもなるのだろうか。 ブライアン作品の中でも、複雑さや疾走感は1、2を争うのではないだろうか。 時にインテリが陥りがちな、自家中毒的で過剰なアレンジが曲のノリやボーカルの勢いをスポイルしているような感もある(あくまでも筆者の主観である)が、語感である種スラップスティック的なドタバタ感をコミカルに演出していく歌詞&メロディは、コンポーザーとしてのブライアンが一皮むけた感がある。(これも全く筆者の主観である) まずはショー第2部(レコードB面)の開幕を告げるファンファーレ。 ギターオーケストレーションの壁がオールドファンの心をくすぐるのだ。 (下図参照↓)上段ギターはタブ譜を1段にまとめる都合上、実際とは違うポジションで採譜してある。 また下段ベースの赤枠部のフレット移動は、全く厳密なものではなく単にピッキングしながらのスライドアップである。 さあ、ブレイクして本編のイントロの登場。 "Kee…

続きを読む

Let Me Entertain You

A面のラストを飾るのは、フレディ最後のハードロックチューン。 しかし、ボーカルとギターがユニゾンでグイグイ押しまくる古式床しいブルーズハードスタイルを、ファンキーで洗練されたアレンジに押し込めたハイブリッド。 その上、転調やリズムチェンジといったQueen風味ももさりげなく忍ばせてあり、これまでの彼自身の作風、いやこれまでのQueenスタイルから確実に進化を遂げているのだ。 また、開き直りを感じさせる自虐的でシニカルな歌詞は、ある種「時代」というスタンスに足を踏ん張りつつもおどけてみせる、フレディお得意のボードビルスタイルの延長線上にあるとも感じさせる。 78年秋からの「JAZZツアー」から81年の終わり、いわゆる「Rock Montreal」まで不動の2番バッターとして景気よくコンサートを盛り上げた。 ただ、同じライブバージョンでも、「Live Killers」と「Rock Montreal」ではビックリするほどスピードが違うのはご愛敬? イントロ①は6/8でスタート。ベース、ピアノ、そしてドラム(HH&バスドラ)がユニゾンでクールにビートを刻む。 なぜか一番最初のみハイハットの踏み方が甘いのが気になるのだ。 また、ベースのスライドはオーバーダビングである。 一聴すると前アルバムの"Get Down Make Love"を想起させ苦いものがこみあげてくるのだが・・・。 さて、ギターが登場しイントロ②へ。同じフレーズをプレイする複数のギターがモノラルでミックスされている…

続きを読む

If You Can't Beat Them (うちひしがれて)

タイトルを直訳すれば「もしやつらを打ちのめすことができないなら」。 リリース当初の「うちひしがれて」という邦題は残念ながらピントはずれ。 単に誤訳というだけではなく、この曲の本質も捉えているとは言い難い。 もし作者のジョン自身が打ちひしがれていたとでも言うのなら別なのだが。 ちなみにリリース前は「打ちのめせたら」という邦題だったらしい。 こちらの方が訳としては近いのだが、日本語の使い方に問題があるのではないだろうか。 無節操と言っていほどの柔軟性で、どんどんオーディエンスの予想を裏切り続けるジョン。 一聴すると、スーパーライトで1ミリの湿り気もない超アメリカンなポップロック。 しかし実態は、シンコペーションと転調を多用した上級のひねくれ度。 ひねくり過ぎて若干自家中毒気味に感じられるが、おそらくそれも計算のうち。 やっぱりジョン、恐ろしい程の策士なのだ。 レフトチャンネルのみの、シンプルなコードワークでスタート。 (下図参照↓)"D"、"A"、"G"と初心者でも鳴らすことのできるシンプルなコード3つだけ。 これがバース部のバッキングとなる王道アメリカンロックパターン。 されど、頭1拍抜いた上にシンコペーションの連発(赤枠部)とトリッキー。 4小節目からリズム隊が合流しフレディへバトンをつなぐ。 この曲も、ドラム本体(シンバル、ハット等の金物以外)はモノラルで処理されているのだが、なんだか強烈な違和感が・・・。 また、この導入部ではスネアのスナッピーのノイズ…

続きを読む

Bicycle Race

"Lazing on a Sunday Afternoon"の頃は、自転車と言えば水曜の夜に乗るものだったのだが、すっかりお気にいりになったようで、大変な熱の入れようである。 そもそもフレディと自転車。 どう考えてもミスマッチ。 A面4曲目にして早くもフレディ作品3作目。 驚異のハイペース。 文字通り「自転車レース」。 アルバムの発売に先立ち、73年10月13日にシングルとしてリリース。 扱いは"Fat Bottomed Girls"と両A面ではあったものの、インパクト差は明白。 ラジオではこちらがしきりにオンエアされ、弥が上にもアルバムへの期待は高まるのであった。 もしこのアルバムも完全にセルフプロデュースだったらこの曲はあり得なかったのではないかと考えると、ロイ・ベイカーに心から感謝である。 しかし、カップリングが共にサビからのアカペラコーラススタートとは何とも極端である。 アルバム製作作業の前半が行われたフランス、ニースに滞在中に偶然出くわしたツール・ド・フランス(1978年は6月29日~7月23日)が創作のきっかけとなったというのは有名な話。 また、Pink Floydのデビュー作「夜明けの口笛吹き」を締めくくる"Bike"(奇才シド・バレットのペンによる)からのインスパイアもあるようだ。 78年11月からの"Jazz Tour"でメドレーの一部としてプレイされ「Live Killers」にも収録された。 しかし、たった6カ月しかプレイされなかったこ…

続きを読む

Jealousy

さあ、待ちに待ったフレディの正統派ピアノバラード。 久しぶりの登場となる切なすぎるラブソング。 少しこれまでとはタッチが違うものの、個人的にはフレディ作品の中でもかなり上位に位置される。 前作「世界に捧ぐ」での不満や不安をきれいさっぱり洗い流すかのように、次々に違うスタイルの曲を繰り出してくるフレディ。 そう、これがQueenの魅力なのだ。 フレディのピアノラブバラードと言えば「オペラ座~」の"Love of My Life"や「~レース」の"You Take My Breath Away"。 つまり、フレディ+ブライアンのソロ(&リズム隊なし)というスタイル。 フレディの内面から湧き出すような内省的なトーン。 それに対してこの曲・・・・ どちらかと言えば、一般リスナーから求められるバラード像を具現化したようなタッチ。 そう、ある意味方程式通り。(決してネガティブにとらえているわけではない) ジョンはまるで足枷が外れたかのように黒いフレーズを連発。 また、控えめとはいえロジャーのビートが入ることでより開放的なムードを醸しだすのだが、逆にブライアンからのインプットは最小限。 そう言えば「~捧ぐ」ラストの"My Melancholy Blues"ではブライアンは不参加であったのだが。。。 イントロはピアノでスタート。 それをギターでシミュレートしてみると以下の通り。可能な限り"let ring"で。 赤枠部はシタール風のアコギによるアラビア(インド?)風のエキゾ…

続きを読む

Fat Bottomed Girls

オープニングの"Mustapha"に続きこの曲もアカペラでスタート。 しかしこちらはファン待望のいかにもなハーモニー。 基本は3声であるが、それぞれを何度も重ねてまさにウオール・オブ・サウンド。 しかし、このアカペラパートは最初から予定されたものではなく、あとからラストのサビを流用して付け加えられたものであるようだ。 耐え得る最大のボリュームにし、ヘッドフォンでこのパートを聴いてみると、完全に消し切れていないベースやドラムの音を微かに聴きとることができる。 ちなみに、スタジオバージョンでは旋律がトップノートであるが、ライブでは旋律(フレディ)の上にロジャーのハーモニーが乗っかるため、いささか趣が異なる。 日本語にすれば「お尻の大きな女の子」。 キューティハニーの逆であり、かなり一般的な体型と言える。 このアルバムからの第一弾シングルとして、"Bycycle Race"とのカップリング。 両者のイメージをミックスさせた「素っ裸のお尻の大きな女の子が自転車レース」というエロエロ路線で、自分たちのアイドル性を徹底的に否定することに成功した。 ちなみに筆者は、長距離サイクリングを始めてすぐに、ビックリするほどお尻が小さくなったという経験があり、大きなお尻と自転車という組み合わせは意外に合理的なのかも知れない。 ブライアン作のアメリカン・オリエンティッド・マッチョ路線。 "The Prophets Song"(ヨーロッパ人入植前夜)、"White Man"(入植者によるネイテ…

続きを読む

Mustapha

"い~ぶらひぃ~ぃ~む、い~ぶらひぃ~ぃ~む・・・・" 針を落とすといきなりフレディの咆哮が轟く。 いきなり未知の言葉とアラビック・スケールの応酬。 リスナーはいきなり異空間に放り込まれてしまうのだ。 フレディ作。 歌詞は、一般的にはアラビア語(or ペルシア語?)であると言われている。 (一部はもちろん英語である。) また、アラビア語には存在しない単語も含まれているという解説も読んだことがある。。 しかし、残念ながら筆者にはいずれの言語の知識も全くないため、真偽のほどは不明である。 また、このような言語を用いた意図も不明であるが、インパクトは絶大である。 時に彼の出自との関連性を問われることもあったようだが、それとは全く無関係であると答えたという記事を読んだことがある。 またフレディ自身、アラビア語を話すことはできないようである。 そういった言語やスケールのことも然ることながら、執拗に繰り返される転調やダイナミクスの振り幅の大きさもリスナーの感覚を麻痺させてしまう。 違和感のあるものほど、一旦飲み込まれてしまうと離れることができなくなるのだ。 コンサートにおいては、フルで演奏された回数はさほど多くはないが、「Live Killers」でお馴染みのように冒頭部は毎回のようにオーディエンスと大合唱された。 この大合唱が、後の掛け合い"リーロレロレロ~"に発展してゆくことになる。 妙にこぢんまりとした"HEY!"に続いて、ピアノ、ベース、ドラムのリズム隊…

続きを読む

JAZZ

パンクムーブメントがよりアーティスティックに進化してゆく一方で、映画「Saturday Night Fever」の大ヒットにともないDisco旋風が吹き荒れた1978年。 当時の男子中学生のほとんどは、ジョン・トラボルタのポーズを真似したはずだ。 この年に入り、Queenは大きな変化を迎える。 マネージメント会社を設立したのだ。 これまで外注のマネージメントで散々泣かされてきた彼ら。 これで安心してプレーに打ち込める?? と、思いきや、税金対策で、海外を転々とする生活が始まったのだ。 そして5月13日、ウエンブリーアリーナ。 「News Tour」最終日。 この日、初めて"We will Rock You"~"We Are the Champions"が最後のアンコールにシフトされた。 Queen史上、最も画期的な出来事と共にツアーは幕を閉じた。 そして初夏を迎える頃、彼らはレコーディングに取り掛かる。 そこには2つの大きな決断があった。 1つめは、海外でのレコーディング。 税金対策"year out"の一環。 スイス、フランスと2つの国をまたにかけてのレコーディング及び編集作業となったが、それは彼らに大きな影響を与えた。 まずはフランス。 「スパービア・スタジオ」でのレコーディング中に滞在してたホテルでTour de France(ツールドフランス)を目の当たりにしたフレディ。 それが"Bicycle Race"のきっかけになったのは有…

続きを読む

My Melancholy Blues

ド派手でスペクタクルなヘビーチューンが終わる。 再び静けさが支配者となる。 カーテンコールに応えて再びメンバーが登場する。 柔らかいトーンのピアノが流れ出す。 「初モノ」ずくめの問題作もいよいよ最後の曲。 フレディ作。 日本語にすれば「我が哀愁のブルース」。 クロージングナンバーにもかかわらずブライアンは不参加。 それが、メンバーの結論。 何となく象徴的である。 発売当初・・・。 特に自分のような、当時の中高生リスナー・・・。 ラストチューンの"Mercury"のクレジットに託した一縷の望みは完膚なきまで打ちのめされた。 確かにそこでフレディは厳然と存在感を放っているが、期待していた"Queen"の匂いは全くしない。 タイトルを見た瞬間に一抹の不安がなかったと言えば嘘になる。 そもそも"blues"という単語は、中高生にはどちらかというとネガティブな警戒心を引き起こさせる言葉である。 もちろん"Summertime Blues"や"Bell Bottom Blues"のように、いい意味で期待を裏切られる場合も確かにある。 しかし、"blues"をタイトルに持つ曲の多くは、スロー~ミドルテンポで単調で暗い。 だから、人生経験の浅いお子ちゃまには、どうしても魅力的には映らない。 (実は今もあまり得意ではないのだ) そんなわけで、若かりし頃はLed ZeppelinよりもDeep Purpleの方がはるかに魅力的であった。 しかし、この曲もタイト…

続きを読む

It's Late

日本語にすれば「もう手遅れ」。 いかにもなブライアン作。 アメリカマーケットを意識したシンプルで哀愁漂うハードロックチューン。 少しファンキーな手触りのリフに、倍速に展開する間奏部。 そう、力ずくでアメリカをねじ伏せた偉大なる先輩の影が見え隠れする1曲。 しかし、随所に散りばめられたQueenらしさ。 様々な方向へ拡散してゆくバンドの中で、なんとか以前のスタイルをつなぎとめようとするブライアン。 だがその意図に気付いてか気付かずか、リズム隊の2人は確実に次のステップを感じさせるプレイを聴かせてくれる。 "Sleeping on the Sidewalk"の際にも触れたが、"News Tour"のセットリストに入っていたことは確かであるがツアー前半に関しては諸説飛び交っている。 "News Tour"後半の78年から79年夏ごろまで("Jazz Tour"~"Killers Tour")は常時プレイされていたようである。 しかし、ちょうど「Live Killers」の録音時期と重なっているにもかかわらず収録を見送られたのにはそれなりの理由があるのだろう。 ライブバージョンとしてはスタジオライブの"Maida Vale Studio Version"が有名であるが、間奏部で"Get Down Make Love"の中間部(ピッチチェンジャーとディレイのフリーソロ)がフィーチャーされる。 そう、そうなるとさらに"力ずくでアメリカをねじ伏せた偉大な先輩"色が強くなり"胸いっぱい…

続きを読む

Who Needs You (恋のゆくえ)

タイトルを日本語にすれば「誰も君を必要となんかしてないよ」。 いわゆる修辞疑問文(反語)。 肯定の疑問形で強い否定を表わす。 女子に翻弄される男子の強がる気持ちをジョンが描き出す。 表情豊かなフレディのボーカルがジョンの世界観に命を吹き込む。 完全にベースレスで、ジョンもガットギターをプレイ。 それにしても、全く違うテイストの曲を次々と送り出してくるジョンの多彩さは驚異的。 しかもこれまでフレディが担当してきたコミカル路線をジョンが受け継ごうとは・・・。 ボードビルスタイルのフレディに対してジョンはラテン。 ロジャーのティンバレス、フレディのカウベル、ブライアンのマラカスがラテン臭を振りまく。 そう言えば、彼のデビュー作である"Misfire"にもラテンの香りが。 よく聴くとラテンフレイバーだけでなくコード展開もよく似ている。 それにしてもまず強烈に訴えかけてくるのはパンニング。 レフトチャンネルにはブライアンがプレイするとおぼしきガットギター(ソロ、オブリ&バッキング)とマラカス(ブライアン)。 一方、ライトチャンネルにはジョンがプレイすると思われるバッキングギター、ロジャーのプレイするドラムセットのうちハイハットとライドシンバル&ティンバレス、そしてなんとフレディのリードボーカル。 これはレフトチャンネルのブライアンのオブリガードとぶつかりを避けるため? そんなわけで、センターに定位するのは、カウベル(フレディ)とドラムセットのバスドラとリムショットくら…

続きを読む

Sleeping on the Sidewalk (うつろな人生)

この邦題はどうなんだ? 歌詞中で描かれる2つの人生のどちらを指して"うつろな"と形容しているのだろう。 直訳すれば「歩道がねぐら」。 ブライアン作。 Queen史上初の正統派(?)ブルーズナンバー。 ボーカルもブライアン自身。 フレディは一切関わっていない。 ブルーズナンバーと言えば、アルバム未収録ではありながら黎明期のライブではお馴染みであった"See What a Fool I've Been"。 こちらは所謂"Zep風"ブリティッシュフレイバード・ヘビー・ブルーズ。 それに対し、この曲は"クラプトン"風アメリカンフレイバード・スタンダード・ブルーズ。 (ブリティッシュとかアメリカンといのはあくまでもイメージの観点から。ECはもちろんイギリス人である。) このアルバムのアウトテイクとして知られる"Feelings, Feelings"も後者のテイストを持ったブルーズナンバーである。(「世界に捧ぐ」参照) 最も製作期間の短かったこのアルバム。 そのために、なんとか曲数を稼ぎたいブライアンはセッションの延長線上にあるような曲を候補に上げたのだろうか。 この曲にはひとつ面白いエピソードが残されている。 複数の記録から、「捧ぐ」ツアーの初日(77年11月11日アメリカポートランド)にプレイされたことは確かなようである。 その際のボーカルはフレディであったようだ。 しかし、その出来が納得のゆくものではなかったのでそれ以降2度とセットリストに上がることはなかったと…

続きを読む

Get Down, Make Love

A面が終わる。 ロジャーの罠にまんまと嵌り、Queenファン達は迷宮の暗闇の中に放り出される。 「ロ、ロ、ロジャーやからしゃあないか・・・」。 自らを納得させつつレコード盤をひっくり返す。 "Mercury"というクレジットに一筋の光を見出そうとして、B面に針を落とす。 しかし・・・・。 タイトルは、「いっぱつキメて気持ちいいことしよう」。 ド真ん中のストレート。 無機質なベースのフレーズ。 嫌な予感はますます加速してゆく。 フレディらしい構築性は残しつつも、全てのQueenファンが口をあんぐり開けたまま途方に暮れてしまう破壊力。 基本となるパターンはたった2つ。 バース部は徹底的にストイックに。 サビは思いっきり奔放に。 これまで彼ら自身がやってきたこと全てを否定し、粉々に打ち砕いてしまう。 いい意味でも悪い意味でも。 自らを"Champions"と称した道化師の強烈な宣戦布告である。 Queenファンの予想を裏切り、77年の"捧ぐツアー"から82年の"Hot Spaceツアー"までの長きにわたりメドレーの一部としてライブでも演奏され続けた。 そのことからもこの曲をメンバーがどうとらえていたのかをうかがうことができる。 オクターブのベースから曲はスタート。 "スーパーマリオブラザーズ"の1シーンを思い起こさせるが、もちろんこの頃にはファミコンすらない。 キーが"Eb"であるのがなんともフレディらしい。 ベース単独で曲が始まるのはQueen史…

続きを読む

Fight from the Inside (秘めたる炎)

ロジャー作。 "the inside"とはどこだ? この邦題や訳詞では、"人の内面(心)"としてとらえているようだ。 しかし単純に"(ある組織や集団の)内部"に思えるのだが。 そんなわけで、日本語にすれば「内側からぶちかませ」。 当時台頭してきていたパンクロッカーたちへのロジャーからのメッセージだと言われている。 巨大なレコード会社に属し、大金を掴んでなお、反社会的な姿勢をウリにするパンクロッカー達への・・・。 ギターの一部をブライアンが担当する以外はすべてロジャー自身がプレイ。 ジョンとフレディは不参加。 特に、ジョンから借りてプレイしたと言われているベースは何から何までユニーク。 このアルバム購入当時(中学2年)、ロジャーの曲はQueenらしくないという先入観に加え、この曲のオリエンタルな響きのギターフレーズ、そして何もかも自分でプレイしようとするロジャーの独りよがりな姿勢などからどうしても好きになれず、数えるほどしか聴いたことがなかった1曲。 されど、Queenの音楽スタイルの変遷という見地からはとても重要な意味を持つ1曲。 音楽を完全にジャンル分けをして語るのは不可能に近い。 時流の中でいろいろな影響を受けたり与えたりしながら形作られるのものであるからだ。 これまでに、Queenももちろんブラックミュージックとの関わりを見せている。 "See What a Fool I've Been"のようなブルーズも、前作でフレディがトライしたゴスペル("…

続きを読む

Spread Your Wings (永遠の翼)

日本語にすれば「君の翼を広げて」。 ジョン作。 UKではこのアルバムからの第2弾シングル。 (ちなみに日本やUSではこの曲ではなく"It's Late"がシングルカット) Queen史上初の、「全くコーラスのないシングル曲」となった。 仰々しいコーラスもギターオーケストレーションもなく、メロディもクラシカルというよりはブルージー。 イントロこそピアノバラードの趣きなれど、リズム隊が入ってくると一転ルーズなサザンロックテイストのパワーバラードへ。 スクエアなドラムと跳ねたベースがなんともアメリカン。 いわゆる「伝統的Queenサウンド」とは一線を画すにもかかわらず、初期からのファンにも評価の高い1曲。 PVではジョンがピアノを弾いているために誤解されがちではあるが、スタジオやライブではフレディがピアノを担当。 ジョンはベース(当然)とアコースティックギター(おそらく指弾き)を担当。 成功を夢見る青年Sammy。 その夢に向かって今にも一歩を踏み出そうとしてる姿を、3人称の客観的な視点で描き出す。 現実的でナマナマしい等身大のストーリー。 一切ファルセットを使わずに、全て地声で歌いきるフレディはかなりワイルドな印象。 音楽的にもストーリー的にも強くアメリカ的な匂いが漂う男臭い1曲。 たったピアノ3音(オクターブ違い含む)だけの超シンプルなイントロでスタート。 D Sammy was low (サミーは憂鬱だった)  E7 Just watchi…

続きを読む

All Dead, All Dead

そのまま訳すとあまりにもナマナマしいので、「もうどこにもいない」くらいにしておこう。 ブライアン作。 残念なことにライブで演奏されたという記録はない。 個人的には、ブライアン作品ポップ・バラード部門のベスト3に入る曲。 フレディのようにダイナミックでスポンテイニアスではないが、はるかに繊細でリリカル、まるで水彩画のようなピアノ。 いかにも伝統的ブリットポップなシャッフルのリズム。 まるでオーロラのように儚げに色が移ろいでゆくギターオーケストレーション。 そして、明らかに"意識した"意味深なフレディのバックボーカル。 いずれにせよ、どこを切っても文句なし。 (もちろん全く個人的な好み) Memories, my memories (思い出、そう僕のたくさんの思い出) How long can you stay (いつまでここにいて) To haunt my days (消え去ろうとしてくれないの)上記の部分は曲中には登場しない。 イントロにこの歌詞を載せようとしたが、どうしても上手くいかなかったので歌詞カードのみの登場となったとのこと。 そのイントロパート。 もちろんピアノソロであるが、それをギター用にアレンジするとこんな感じ。 もちろん、ピアノに比べて低音部も高音部もかなりもの足らない状態ではあるが雰囲気は出せるのではないだろうか。 She came without a farthing (彼女は一文無しでやってきた) A babe without …

続きを読む

Sheer Heart Attack

「ハートに強烈な一撃!」。 ロジャー作。 曲中にベースがフィーチャされているにもかかわるずジョン不在はQueen史上初。 ドラム、ベース、渾身のリズムギターはロジャーがプレイ。 文字通り、アルバム「Sheer Heart Attack」時から候補には上がっていたがもうひとつ納得のレベルに達していなかったので先送りされてきたのはご存じの通り。 その当時、どのようなアレンジであったのかは非常に興味深い。 少なくとも、このバージョンのように、全くうねりのない超ストレートな高速8ビートではなかったのではないだろうか。 ま、今となっては、メンバーのみぞ知るところ。 ボーカルはフレディなのかロジャーなのか? 常にそれが物議をかもしてきた。 CDのライナー(2001年のリマスター盤)のようにロジャーのボーカルを断言しているものもあれば、ロジャー+フレディ説のものもある。 ロジャーのデモボーカルにフレディの歌が重ねてあるので判別しがたいという説もあった。 しかし、速度を落として確認してみると、基本的にフレディ。 音像にぶれもないので単独ボーカルの可能性が高い。 ただハーモニーはロジャー、サビ("Sheeeeeeeeer Heart Attack"の部分)は全てロジャーの声のように聴こえる。 (確証はない) じゃあ、なぜこんなに混乱させるのか? その鍵はこの曲のキーにある。 スタジオバージョンのキーはEb。 一方、ライブバージョンのキーはD。 つまり、レコーデ…

続きを読む